研究課題/領域番号 |
26463101
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
清水 典佳 日本大学, 歯学部, 教授 (40154299)
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研究分担者 |
馬谷原 琴枝 日本大学, 歯学部, 助教 (60440046)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脱分化脂肪細胞 / DFAT / 間葉系幹細胞 |
研究実績の概要 |
ラット脂肪組織から天井培養により得られた脱分化脂肪細胞(rDFAT)と脂肪組織から得られる間質細胞由来間葉系幹細胞(ASCs)の多分化能を検討した結果、ほぼ同等のコロニー形成能、増殖能及び多分化能を示し、rDFATは間葉系幹細胞と類似した特性を持つことが示された。またrDFATを骨芽細胞誘導培地で培養し、アルカリフォスファターゼ染色、アリザリンレッドS染色にて検討した結果、ASCsと同等の誘導能がみられるが、ASCsと比較し分化誘導に時間がかかることが示された。 次に再生医療において免疫拒絶反応のない患者自身の脱分化脂肪細胞(DFAT)を使用することを想定し、顎変形症治療における外科手術時に採取したヒト頬脂肪組織から得られるDFAT (hDFAT)について検討を行った(倫理委員会許可2008-8)。酵素処理濃度の検討を行った結果、 0.02%(w/v)で他の濃度に比較して有意に多い成熟脂肪細胞およびhDFAT数を獲得できた。成熟脂肪細胞は0.02% (w/v)の酵素処理により40μm以下の小さな細胞分画が有意に多く単離できることが示され、hDFAT数についても、0~2継代全てにおいて0.02%(w/v)にて他の濃度に比較して有意に多い細胞数を獲得でき、また、最も多くの成熟脂肪細胞およびhDFATを獲得した0.02%(w/v)と従来hDFAT調整時に用いられている0.1% (w/v)の酵素処理後に獲得したhDFATの特性を比較すると、遺伝子発現、細胞表面抗原、細胞増殖能、コロニー形成能、骨芽細胞および脂肪細胞誘導について、有意な差は認めなかった。 以上の事より、ヒト頬脂肪組織かr脱分化脂肪細胞を獲得する際、0.02 %コラゲナーゼ溶液で1時間処理することにより、他の濃度条件に比較して、有意に多くの成熟脂肪細胞およびhDFATを獲得できる事が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DFATの採取について、酵素処理濃度、時間等により得られる細胞数、細胞の大きさに違いがあることがわかり、多分化能の高いまた多量のDFATを得るための最適な条件について検討する必要があったため、計画がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
DFAT採取のための最適条件が設定されれば、この条件にてDFATを採取する。24穴プレートに1.0×103cell/wellとなるようにDFATを播種し、多分化能について骨芽細胞誘導培地、脂肪細胞誘導培地を用い21日間培養し、アルカリホスファターゼ染色、Von-Kossa染色、Ca定量、オイルレッドO染色にて検討する。 DFATの骨芽細胞分化能が確認できたら、DFAT(2.0x105 cells)を100mmディッシュに培養し、骨芽細胞誘導培地に交換し、72時間後にGa-Al-As半導体レーザー(1.9、3.8および7.6 J/cm2)の一回照射を行う。その後6,12,24,48,72h後に細胞を回収後BMP-2、IGF-Iおよび転写因子Runx2、Osterix、Msx2の発現について検討する。またbone nodule 形成については培養21日後にVon-Kossa染色とCa定量にて検討し対照群と比較することで、レーザー照射がDFATの骨芽細胞への分化に与える影響を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
DFAT採取について、条件の変化が細胞数、大きさに影響を及ぼすことが分かったので最適な条件を検討する必要があった。そのため計画がやや遅れており、予定していた試薬等の購入を延期したため。
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次年度使用額の使用計画 |
計画に変更なく、今年度購入を予定した試薬は今後必要になるため来年購入を予定している。
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