研究課題
成熟脂肪細胞から脱分化した未分化性の高い細胞(脱分化脂肪細胞、以下DFAT細胞)の単離条件の設定:成熟細胞の大きさ、また酵素処理に使用するコラゲナーゼ溶液の至適濃度について検討を行い、ヒト頬脂肪体由来の40μm未満の成熟脂肪細胞画分からDFAT細胞を調整する事で、従来よりも有意に早く骨芽細胞へ分化すること、また0.02%のコラゲナーゼ濃度が最も多い脂肪細胞数を得ることができ、そのほとんどが直径30μm以下であることを明らかにした。DFAT採取:8週齢Fisher系雄性ラットの鼠頸部の脂肪細胞1.0gを採取、細切し0.02%コラゲナーゼ処理後低速で遠心沈殿させ上澄を採取し、20%FBSを添加した培養液を満たしたフラスコ内で天井培養した。1週間後フラスコを反転させ培地を交換し、継代培養を行いDFATを得た。DFAT移植:同系ラットの上顎切歯間に1.5mm厚の金属リングを圧入し、上顎正中口蓋縫合を急速拡大し、DFATをPura Matrix ゲル0.1mlに混和し、口蓋縫合部粘膜下にG29注射針を用いて投与した。拡大時から1週おきにmicro-CTで口蓋縫合部を撮影し、対照群(無処置)、拡大群、拡大+DFAT移植群に分け、骨形成量を4週にわたり比較検討した。拡大直後のmicro-CT画像とその後に撮影した画像の同一領域を差分法により解析したところ、すべての群で2週間後に拡大量が最大となり、その後拡大された縫合部が閉鎖されていった。拡大群では3および4週間後において骨増加がみられたが、DFAT移植群では2週間後で骨増加が認められるもの拡大群と比較するとわずかであった。当初の想定では拡大+DFAT移植群ではDFATによる骨形成促進がなされ拡大群に対し有意に骨増加が起きると考えたが、今回の結果からは影響がみられなくむしろDFAT移植により骨形成が抑制されていると考えられた。
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Journal of Oral Science
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