本研究の目的は、熱ショックたんぱく質A1A(HSPA1A)の矯正学的歯の移動速度に対する影響を調べることである。初めに、培養したヒト歯根膜線維芽細胞に対するHSPA1Aの影響を検討したところ、HSPA1Aは、歯の移動に重要な役割を担うIL6,IL8やTNFαなどの炎症性サイトカインを誘導することが明らかになった。次に、HSPA1Aの機能抑制剤を投与したラットにおいて歯の移動実験を行ったところ、抑制していない群に対して抑制群の歯の移動量は有意に減少した。以上より、矯正的歯の移動にはHSPA1Aが関与する可能性が示唆された。
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