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前年度に引き続き、乳歯歯髄由来間葉系幹細胞（SHED）と造血幹細胞(HSCs)を第三リン酸カルシウム顆粒に混和した細胞凝集複合体をNODマウスの頭頂部に人工的に作成した骨欠損部に移植し、再生した骨組織の細胞動態について検討を行った。前年度の検討結果から、SHEDのみ移植した場合と比較してSHEDおよびHSCsの細胞凝集体を移植すると、骨欠損部に新生する骨組織量が多いことが判明している。以上の知見から、細胞凝集複合体中のSHEDとのHSCsとの相互作用について検討を行った。
経時的な骨組織過程について検討したところ、SHEDとHSCsの細胞凝集複合体では、第三リン酸カルシウム顆粒周囲において新生した層板状の新生骨の吸収と骨添加が活発に行われており、経時的に第三リン酸カルシウム顆粒が吸収されていることが確認された。マウスを用いた移植実験において、SHEDにおける骨芽細胞への分化能は、HSCsによって維持されている可能性があることから、HSCsのSHEDへの作用機序について検討を行った。HSCsを用いないでSHEDの骨芽細胞への分化能が維持されるか再現を試みた。実験の結果、Wnt/β-カテニンシグナル伝達経路を活性化することで、骨芽細胞への分化能が増強することが判明した。以上の結果から、SHEDの骨芽細胞への分化過程におけるHSCsとの相互作用は、Wnt/β-カテニンシグナル伝達経路が関与していることが示唆された。
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