研究課題/領域番号 |
26463114
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
永山 邦宏 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (60583458)
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研究分担者 |
宮脇 正一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80295807)
大牟禮 治人 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (00404484)
末永 重明 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00136889)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 顎関節症 / 酸関連疾患 / 片頭痛 / fMRI |
研究実績の概要 |
まずfMRIで撮像したデータから脳賦活部位を検討するため、MATLABやSPM 8等のソフトウェアを用いて、脳機能解析用パソコンを構築した。その後、咀嚼運動時と噛みしめ時に咀嚼筋部あるいは顎関節部に痛みを伴う顎関節症患者に対し、咀嚼運動と噛みしめを行わせ、fMRIを用いて脳賦活部位を検討した。また、健常者に対しても同様の検査を行い、顎関節症患者の脳賦活部位と比較した。その結果、健常者の脳賦活部位に加えて、顎関節症患者は前頭前野や島皮質等が賦活していた。また、顎関節症患者の中には、咀嚼運動時や噛みしめ時に前運動野や一次運動野の賦活が消失している者もいた。この結果は、痛みにより咀嚼運動や噛みしめができなかったことを反映していると考えられた。さらに、顎関節症患者のうち痛みが咬筋に限局している者と顎関節部に限局している者とを比較したところ、賦活部位が異なっていることが疑われた。そこで、顎関節症患者を痛みの限局する部位と、両側性か片側性のグループに分け、咀嚼運動時や噛みしめ時の脳賦活部位を検討している。 今後は、さらに顎関節症患者を対象とした被験者を増やし、顎関節症患者の各部位の痛みに対する脳賦活部位を検討していく。さらに、被験者を増やすとともに、片頭痛の有無で被験者をそれぞれグループに分け、脳賦活部位を検討・比較する。顎関節症患者の痛みを伴う際の脳賦活部位と片頭痛の部位とを比較することにより、それら2つの疾患の関連を脳賦活部位の観点から検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していたように顎関節患者を募集し、片頭痛の有無や部位の調査等を行っている。また、同時に顎関節症患者の痛みを伴う咀嚼運動時や噛みしめ時の脳賦活部位および健常者の咀嚼運動時や噛みしめ時の脳賦活部位をすでに検討しているため、おおむね順調に進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
脳機能解析ソフトウェアの構築が完了した後、顎関節症患者の募集および調査を行っている。また、同時に健常者と顎関節症者の咀嚼運動時や噛みしめ時のfMRIを撮影し、脳賦活部位の検討を行っている。今後は被験者を増やし、顎関節症患者を痛みの部位ごとに分け、それぞれの脳賦活部位の特徴を抽出する。また、被験者がある程度確保された時期に、片頭痛の有無や部位などによる脳賦活部位の違いを検討していく予定である。 その後、酸関連疾患の症状を調査し、食道内への酸注入時にfMRI撮影を行う予定としているが、嚥下による体動によりMRIデータが正確に採得できない可能性がある。これは、MRI撮像回数の減少や撮像時間の短縮等により、できるだけ体動や嚥下によるデータの乱れを排除し、撮像条件を整え、データ採得できるように推進していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
筋電図計測に用いる機器は現存するもので代用が可能な部品があったことや、脳機能解析用ソフトウェアについても所属研究機関から貸し出しされている物もあり、物品費用が見込みよりも少額であった。また、顎関節症患者と健常者を募集し、すでに本実験を行っているが、まだ予定の人数に達していなかったため、次年度に使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今後は顎関節症患者や健常者の被験者を増やしていき、被験者への各種調査や脳賦活部位を調べ、痛みを伴う顎関節症患者の脳賦活部位が健常者と異なる点や片頭痛の部位との関連を検討する。その際に、被験者への謝金やfMRI撮影料として科学研究費を使用する。その後、上部消化管症状の調査や内視鏡検査を行った後、食道内への酸刺激時の脳賦活部位を調べ、それらの疾患の関連を脳賦活部位の観点から検討していく予定にしており、その際にも各種消耗品や被験者への謝金、内視鏡検査料、fMRI撮影料として科学研究費を使用する。
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