研究実績の概要 |
5週齢のマウスを対照群と糖尿病群に分けた。1、5、13週目にそれぞれサンプリングを行い、組織標本による骨微細構造の観察および骨形態計測システムOsteoMeasure (OsteoMetrics, Inc/USA)にて組織形態計測を行った。また、以前当教室の研究でも使用した末梢骨骨塩定量専用CT (pQCT)による3次元的骨構造解析を行った。いずれも計測部位は下顎第一大臼歯近心根付近および大腿骨全骨長1/2の骨幹部とした。 <組織標本による骨微細構造の観察、組織形態計測>①下顎骨:糖尿病群の下顎骨では1週目(6週齢)での石灰化の亢進と吸収の抑制が皮質骨厚みと皮質骨面積の増加に大きく寄与していると考えられた。②大腿骨:糖尿病群の大腿骨骨幹部では内膜面の吸収抑制と、外膜面の石灰化亢進が皮質骨面積と厚みの増加に寄与していると考えられた。 <pQCTによる3次元的骨構造解析>①下顎骨:皮質骨および海綿骨骨密度は全週齢において対照群が糖尿病群を上回った。また、週齢を経るごとに皮質骨および海綿骨骨密度は増加した。②大腿骨:皮質骨および海綿骨骨密度は全週齢において糖尿病群が対照群を上回った。対照群では週齢を重ねるごとに骨密度の増加が認められたのに対し、糖尿病群海綿骨では5週目(10週齢)から13週目(18週齢)では減少がみられた。 <血清レプチン濃度との関連> 糖尿病群の大腿骨において、血清レプチン濃度と海綿骨骨密度には正の相関関係がみられた。したがって糖尿病発症初期段階における大腿骨骨幹部海綿骨では、レプチンは骨密度に促進的に作用することが考えられた。また、血清レプチン濃度と大腿骨骨幹部皮質骨および下顎骨の骨密度との相関関係が認められなかったことから、レプチンが膜性骨化の骨組織に及ぼす影響は部位により異なることが示唆された。
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