研究課題/領域番号 |
26463117
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
齊藤 正人 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (50337036)
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研究分担者 |
谷村 明彦 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (70217149)
安彦 善裕 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90260819)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エピジェネティックス / 歯牙発生 / 石灰化遺伝子 |
研究実績の概要 |
エピジェネティクスは、DNAの塩基配列の変化を伴わず遺伝子発現が変化する現象であり、その代表的なものにDNAメチル化やヒストン修飾がある。エピジェネティクスの関与は、疾病だけでなく歯牙の発生や細胞分化の過程において、遺伝子が適切に制御されるために重要な役割を果たしていることが報告されている。本研究では、歯牙発生におけるエピジェネティックな関与を明らかにし、エナメル質の自己修復能力を利用して再石灰化の誘導を行うことを目的とする。 平成27年度は、活性型ビタミンD3(VD3)によるラット歯原性上皮(SF2)細胞の石灰化誘導能を観察するために、アリザリンレッドS染色およびアルカリフォスファターゼ(ALP) assayをおこなった。アリザリンレッドS染色による石灰化物の沈着は、VD3添加群でCaCl2濃度が1 mM以上のときに顕著であった。ALP assayによるALP活性の測定では、VD3添加群でALP活性の顕著な増加が認められたが、細胞外へのCaCl2の添加はALP活性を変化させなかった。 SF2細胞にG-GECO (Ca2+センサー) 遺伝子をアデノウイルスベクターにて導入しに発現させ、Ca2+応答とそれに対するVD3の作用を共焦点レーザー顕微鏡で観察した。SF2細胞に発現させたG-GECOの蛍光の変化は、自発的で間欠的な蛍光強度の増加がVD3添加後2~4時間後に多く認められた。その頻度はコントロールと比較して、VD3の添加によって約3倍に上昇したことから、VD3が自発的なCa2+応答を増加させることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度の研究予定に昨年度から着手しており、研究データが徐々にそろいつつある。
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今後の研究の推進方策 |
VD3によるCa2+応答が細胞内ストアからのCa2+放出によるものなのか、細胞外からのCa2+流入によるものなのかを明らかにするために、Ca2+応答抑制剤であるSOCE阻害剤(LaCl3)、小胞体カルシウムATPase阻害薬による影響を調べる。また、SF2細胞を96 well plate に播種し,血清添加,血清とLaCl3の添加,EGF添加,EGFとLaCl3の添加,stromal cell-derived factor 1(CXCL12)添加,CXCL12とLaCl3の添加,EGFとCXCL12添加,そしてEGFとCXCL12およびLaCl3の添加を行い、遊走能の比較を行い、データを考察した上で論文投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要試薬の購入において、66,792円では必要試薬購入金額に満たなかったため、次年度繰越金とした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度繰越金である66,792円は、研究遂行において必要試薬(物品費)の購入にあてる。
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