研究課題/領域番号 |
26463118
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研究機関 | 東京福祉大学 |
研究代表者 |
橋本 由利子 東京福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (30343453)
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研究分担者 |
岡村 弘 東京福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (30141732)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 幼児の口腔機能 / 幼児口腔体操 / 脳血流量 |
研究実績の概要 |
近年、幼児には「よく噛まない」「いつまでも口にためている」などの摂食上の問題点が指摘されている。食物を捕食し、咀嚼し、食塊を作り、嚥下するという一連の口腔の行為は人間にとって、栄養を摂取し生命を維持するための不可欠な行為であるばかりでなく、全身の健康やQOLにも影響を及ぼす。とくに成長・発達段階にある幼児の咀嚼機能を高め良い食習慣を築くことは、その後の人生を健康に過ごすためにも重要である。本研究では保育所や幼稚園の幼児を対象に口腔体操を10ヶ月間実施し、その前後での口腔機能の測定、保護者や保育者に対するアンケート調査、およびNIRS(近赤外光脳機能測定装置)による脳血流量の変化の測定により、口腔体操が子どもたちの咀嚼能力の向上や食習慣の確立(硬い食品を食べるかどうか)に効果があることを検証するものである。 平成26年度は介入研究の前準備として、口腔体操を日常的に行っている幼稚園や保育所がどの程度存在するのかまたそれはどのような内容なのかを、A市の幼稚園・保育所全園に対するアンケート調査で把握した。その結果、口腔体操を行っていた園は全体の約5%と非常に少ない状況であった。実施時間帯は朝の集会時あるいは昼食前であり、口腔体操の内容は舌の運動や発声練習が主であった。これらの結果を踏まえて対象施設の選定や幼児口腔体操の作成を進めることとした。 また、幼児が硬いものを摂取した時の脳血流量の変化の予備調査として、大学生を対象として硬いお菓子を食べた時の前頭前野の脳血流量の変化を調べたところ、脳血流量はお菓子の噛みごたえより味や好みに左右されるということが示唆された。このことより、幼児の脳血流量の調査に当たっては、硬いものとして摂取させる食品についてよく吟味する必要があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は対象施設と対象児の選定、幼児口腔体操の作成、および介入前調査(口腔機能および脳血流量の測定)の準備を行う計画であったが、全体としてやや遅れている。 研究対象施設については大学が立地している地域の近くで検討したが、調査項目が多いため、研究に協力的な施設を見つけることがいまだできていない。 幼児口腔体操についてはほぼ出来上がり、介入対象施設以外の施設において実施したうえでさらに改良を加える予定である。 口腔機能調査の機器は研究計画作成時に多く使われていた器械に代わって新しい機器が開発・使用されているためそれらが小児の口腔機能測定にも使用できるかどうか検討した。そのため、機器の購入は次年度に持ち越された。 硬いものを摂取した時の脳血流量の測定に関しては、前頭前野の脳血流量はその食品の噛みごたえより味や好みに左右されるとの結果から、幼児の脳血流量の測定方法に関して現在詳しい検討を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究実績がやや遅れているため、平成27年度中に10か月間実施する予定であった介入研究を、平成27年10月から平成28年5月までの10か月間行うこととする。 平成27年10月の介入研究開始までに、介入対象施設を選定し、施設長や職員、保護者、幼児に対する説明や教育を行う。また幼児口腔体操をCDに焼き付け、介入時にはCDを各介入施設に渡して、口腔体操の介入がスムーズに行われるようにする。昨年度明らかになった口腔機能の測定方法や脳血流量の測定の課題を解決してから、介入前調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
口腔機能測定機器について研究調書作成時によく使用されていた機種とは別の機種がよく使用されるようになったため、その機種で幼児の口腔機能を測定できるかどうか検討し、購入が遅れた。
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次年度使用額の使用計画 |
新機種の検討を行った結果、やはりはじめに予定していた機種を用いて測定を行うこととした。次年度、介入研究を開始する前に購入する予定である。
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