研究課題
デンタルバイオフィルムは、形成初期は透明や白色だが、成熟するに従い黄色や灰色を呈することが多い。小児の口腔から検出されるバイオフィルムも多くの場合白色だが、時に黄色や黄褐色のバイオフィルム(有色バイオフィルム)を認めることもある。しかし小児において有色バイオフィルム中の細菌構成について検討し、白色または無色のバイオフィルム(白色バイオフィルム)と比較した報告は少ない。本研究では、有色バイオフィルムを有する小児からバイオフィルムを採取し、16s rRNA gene pyrosequencingによってその細菌構成を解析した。被験者となった小児は、齲蝕罹患状況をもとに口腔内の状況が良い群(Healthy群)と悪い群(High risk群)に分けて比較を行った。樹形図を作成したところ、小児全体では有色および白色バイオフィルムに明らかなDissimilarityを認めなかったが、一部の小児では同一被験者のサンプルにもかかわらず、有色および白色のバイオフィルム間の樹形間距離が大きく離れていた。次にHealthy群とHigh risk群のそれぞれで、有色および白色バイオフィルムの間で各OTUs(Operational taxonomy unit)の構成比率を比較したところ、口腔内状況の良い群では構成比率の低い2つのOTUsで有意差を認めるのみであったが、悪い群では6つのOTUsで有意差を認め、その中には構成比率が5%以上のものが2つ含まれていた。このことから、High risk groupの小児が有する有色および白色バイオフィルムの細菌構成は、Healthy groupに比べて差異が大きいと考えられる。また、あるOTUsの構成比率が15%以上であったサンプルが5つあったが、そのすべてが有色バイオフィルム由来であり、さらに4つはHigh risk群の小児から得たものであった。
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教育と医学
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歯界展望
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