研究課題/領域番号 |
26463124
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
笹栗 健一 自治医科大学, 医学部, 講師 (10235286)
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研究分担者 |
久保 金弥 星城大学, リハビリテーション学部, 教授 (00329492)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 扁桃体 / 視床下部室傍核 / ストレス / チューイング / p-ERK1/2 |
研究実績の概要 |
ストレスと同時に木の棒を口腔領域に接触させチューイングを行わせることで、全身性のストレス反応や脳内ストレス応答領域のストレスマーカーが減弱することが明らかになっているが、その脳内機構は不明である。そこで、情動の機能中枢である扁桃体に対して神経毒であるカイニン酸を用いて局所的に機能を破壊したラットを作製し、コントロール群(C群)、ストレス単独群(S群)ならびにストレス負荷と同時に木の棒をチューイングさせた群(SC群)の3群で視床下部室傍核でのp-ERK1/2の発現を指標に平成26・27年検討を行った。その結果、扁桃体のカイニン酸を用いた破壊によりSC群でのpERK1/2発現陽性細胞数の減少効果が抑制された。すなわち、ストレス下における三叉神経からの入力の増強は、扁桃体から室傍核に対する投射を制御していることを明らかにした。しかしながら、神経毒カイニン酸を用いているため、具体的な機構に関して不明であった。そこで平成28年度は、主に抑制性の神経伝達物質であるγ‐アミノ酪酸(GABA)に着目し,マイクロダイアリシス法を用いて、C、SならびにSC群の各群の扁桃体に対してタスク時のGABAの容量を継時的に計測した。その結果、扁桃体中心核(CeA)ではストレス単独とストレスと同時にChewingさせてもGABA量に変化は認められなかった。一方、扁桃体外側基底核(BLA)ではストレスに応じてGABA量は上昇したが、驚くべきことにストレス下でのChewingはさらに特異的にBLAでのGABA 量をストレス単独と比較して有意に上昇させていた。すなわち、Chewingによる三叉神経からの入力の増強は、BLAでのGABA量を増加させGABAergicな機能を亢進し、CeAへの抑制性入力を増強させ、いわゆるGABAergic inhibitory systemを強化し、各ストレス応答関連脳領域でのストレス応答減弱効果を制御している可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
扁桃体の各亜核にマイクロインジェクション法を用いてアプローチをしているため、時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、マイクロインジェクション法・マイクロダイアリシス法の手技の精度が向上してきているため、以前に比べ研究の速度は上がっているので、平成29年度中に終了する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
一連の研究結果の一部を用いて論文作成したが、申請期間中での投稿を達成できなかったため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度中に終了する。
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