研究課題
成長期において齲蝕や事故などによる歯の喪失や無汗型外胚葉異形成症などの疾患にみられる無歯症によって歯が欠損し、咬合関係が喪失することにより引き起こされた咀嚼筋の成長・発達異常が、顎全体の正常な成長・発達に大きな影響を及ぼすことが考えられる。研究代表者らは歯が萌出しない小眼球症マウス(mi/miマウス)を用いて咬合が咀嚼筋、舌筋の性質に与える影響の検討を行った。mi/miマウスは、ベーシック・ヘリックス・ループ・ヘリックス(bHLH) 構造を持つmitfに突然変異がある。mitfは、心臓でも多く発現しており、慢性的なβ1-アドレナリン受容体(β1-AR:心臓の主要なサブタイプ)刺激により誘発される心肥大の発症に重要な役割を果たすことが報告されている。研究代表者らはmi/miマウスに、クレンブテロール(CB)(β2-AR(骨格筋の主要なサブタイプ)アゴニスト)投与による骨格筋肥大に対する変異のmitfの影響を解析した。mi/miおよび野生型(WT)マウスにおける咬筋(速筋)、前脛骨筋(速筋)、ヒラメ筋(遅筋)、心筋の脛骨長に対する筋重量の比(筋重量/TL)ついて、CB投与の影響を調べたところ、WTマウスでは、CB投与により、咬筋、前脛骨筋、心筋の筋重量/TLが有意に増加したのに対し、mi/mi マウスでは、すべての筋で有意差がみとめられなかった。したがって、mitfは心筋同様に、速筋型骨格筋においてもβ-ARを介した筋肥大に重要な役割を果たすことが示唆された。
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Physiol Rep.
巻: 4 ページ: e12791
10.14814/phy2.12791.