研究課題
47名の切迫早産妊婦、48名の通常妊娠の妊婦、計95名の妊婦を被験者とした臨床研究を行った。早産であった妊婦からは、口腔内のPorphyromonas gingivalisが有意に高頻度で検出された。加えて、習慣的流産、血栓を引き起こす抗リン脂質交代症候群(APS)における歯周病の関与に関する研究を行った。APSはβ2グリコプロテインⅠ(β2GPI)依存性の抗カルジオリピン抗体が、β2GPI上の結合エピトープと結合することによって引き起こされる。歯周病原細菌に対する抗体がβ2GPI上の結合エピトープと相同性の高い配列を持つことに着目し、歯周病原細菌の感染によって上昇する抗SIRVYK IgG抗体がβ2GPIと交差反応することを示した。抗SIRVYK IgG抗体が切迫早産および早産に関連していることを報告した。また、出産後の胎盤を解析し、歯周病原細菌が胎盤から検出されるかどうかを検討した。その結果、切迫早産の妊婦の胎盤からは、正常な妊婦の胎盤と比較してFusobacterium nucleatumが有意に多く検出されることを報告した。Fusobacterium nucleatumは口腔内の清掃状態を反映すると考えられており、口腔内の状態が、胎盤に反映されている可能性が示唆された。動物モデルを用いた研究では、マウスにPorphyromonas gingivalisを静脈注射することにより、低体重出産が引き起こされることを報告した。
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