研究課題/領域番号 |
26463129
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
竹内 康雄 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60396968)
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研究分担者 |
丸山 史人 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30423122)
片桐 さやか 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60510352)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | インプラント周囲炎 / 歯周炎 / トランスクリプトーム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、インプラント周囲疾患に関わる細菌叢の群衆構造および機能を細菌の遺伝子情報から明らかにするとともに、これら細菌学的情報をインプラント周囲疾患の診断および治療に応用しようとするものである。 本年度はインプラント周囲炎および歯周炎部位から歯肉縁下プラ-クを採取し、DNAおよびRNAの抽出後、これを基に16S rRNA解析およびトランスクリプトーム解析を試みた。16S配列解析により、インプラント周囲炎と歯周炎における種多様性は両群間で差が認められず、基本的に類似した細菌叢であると考えられた。種レベルでみるとインプラント周囲炎と歯周炎ではCoreとなる細菌種が異なり、例えばインプラント周囲炎では、Prevotella nigrescensが、歯周炎においてはPeptostrepptococcaceae sp.や Desulfomicrobium oraleが多く検出された。また、rRNAおよびmRNA配列を抽出して系統分類した場合では、DNAベースの解析の結果と同様に、どちらの場合においてもインプラント周囲炎と歯周炎で検出される主要な細菌種に差は認められなかった。但し、rRNA配列に基づく解析とmRNA配列に基づく解析を比較すると、Pprphyromonas gingivalisなど既知の歯周病原菌などを含む約200種が共通していた一方で、約80種の菌についてその検出率や割合に差違が認められた。この違いが臨床症状や細菌叢のもつ機能にどの様な変化を与えているかについて現在解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サンプル数は予定よりは若干少ないものの解析は進んでいる。サンプル採取やDNA・RNAの処理法の検討に時間を費やしたものの、その結果これまでサンプル処理が困難であった健常歯周囲のプラークからも細菌DNA抽出が達成できた。今後、同サンプルの解析も進める予定である。これまでの研究結果をまとめ学会発表を行う予定があり、また論文投稿の準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きインプラント周囲細菌叢の組成および機能解析を行う。データ解析の作業が膨大であり時間がかかるため、この部分については新たにサンプルを増やすことはしない予定である。また今後、この解析データを基にインプラント周囲疾患の診断や治療方針をたてる上で有用と思われる細菌・機能遺伝子を選出し、治療の経過を追ってこれらを観察していく予定である。この臨床的な検討のための被験者募集とサンプル採取は積極的にすすめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部物品で見積額よりも安価に購入できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の予算と合わせて、細菌DNAおよびRNA抽出試薬、シークエンス用試薬など消耗品のの購入にあてる。
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