研究課題/領域番号 |
26463130
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小林 哲夫 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (00215344)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯周炎 / 関節リウマチ / シトルリン化 / 発症メカニズム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、歯周炎と関節リウマチ(RA)に共通する発症機序を解明するため、RA患者ならびに年齢・性別・喫煙・歯周状態が同程度の対照患者を対象に、Porphyromonas gingivalisの感染レベル、シトルリン化変換酵素(PAD)発現、シトルリン化蛋白レベルのプロファイリングを行い、歯周炎とRAに共通した発症機序の解明を試みることである。 本年度は第1段階として、インフォームド・コンセントが得られたRA患者52名(RA群)と対照患者26名(非RA群)を対象に歯周検査、リウマチ検査、および血液採取を行い、血清抽出後にP. gingivalis由来PAD(PPAD)に対する血清抗体価、内在性PAD4の血清濃度、および血清中の抗環状シトルリン化ペプチド(CCP)に対する血清抗体価を各々ELISAにて解析した。 その結果、RA群では非RA群と比べて,血清中の抗PPAD抗体レベル,抗CCP抗体レベルは各々有意に高い値を示したが、PAD4濃度は2群とも同等であった。また、血清中の抗PPAD抗体レベルと抗CCP抗体レベルとの間には有意な正の相関を認めた。さらに、年齢・性別・喫煙状態を調整した多重ロジスティック解析の結果、血清中の抗PPAD抗体レベルとRAとの間には有意な関連が認められた。 以上の結果から、対象患者の歯周炎症が比較的軽度であったものの、PPADがRAに関連してタンパクシトルリン化に関与する可能性が示唆された。今後は、これらの関連が歯肉溝浸出液あるいは歯周治療前後でも同様に認められるかをさらに検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究実施計画でプロファイリングに必要とされる関節リウマチ患者数および対照患者数の臨床検体を確保できたため。また、血清中のP. gingivalis由来PAD(PPAD)に対する血清抗体価、内在性PAD4の血清濃度、および血清中の抗環状シトルリン化ペプチド(CCP)に対する血清抗体価が順調に測定できたため。
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今後の研究の推進方策 |
歯周炎とRAに共通した発症機序の解明のためのプロファイリングをさらに進めるため、関節リウマチ患者および対照患者由来の歯肉溝浸出液においても、P. gingivalis由来PAD(PPAD)に対する抗体価、内在性PAD4の濃度、および抗環状シトルリン化ペプチド(CCP)に対する抗体価を測定する。さらに、対象者の一部について歯周治療の前後においても同様な解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の実施計画ではP. gingivalis由来PAD(PPAD)のクローニングを本研究施設にて実施する予定であったが、委託作製に変更したため、結果的に、嫌気培養、ゲノムDNA抽出、PCR、ならびにプラスミドベクターへのライゲーションの費用総額よりも少額で済んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
今回生じた次年度使用額分については、当初計画した対象症例数に更に症例数を追加することで対応することとする。これによって、PPAD抗体価、PAD4濃度、CCP抗体価などのプロファイリングデータ数が更に増えることになり、その結果、統計解析の精度向上につながることが期待される。
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