本研究は、心臓弁膜症患者の歯周病原細菌感染度と血清抗体価から感染性心内膜炎(IE)が発症するリスクを統計学的に検索することを目的とした。被験者は、徳島赤十字病院心臓血管外科の心弁膜症既往患者を対象とした。その結果、IE発症者はIE未発症者と比較して、骨吸収率が高く、残存歯が少なく、要抜歯数も多く認められた。Porphyromonas gingivalis検出率は、IE未発症者では53.5%、IE発症者は100%であった。一方、血清IgG抗体価の上昇率もIE未発症者は43.7%であったが、IE発症者では100%認められた。これによりIE発症と歯周感染との間に関連がある可能性が示唆された。
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