研究実績の概要 |
病原性を示す細菌の特徴の一つとして細胞内侵入能および生存能があるが、細胞内に侵入した細菌がどのようにして排除されるかは明らかになっていない。近年、細胞質およびエンドソーム内の自然免疫受容体が細胞内細菌を検知し、カスパーゼ1,4,5を活性化し、ピロトーシスと呼ばれる形態の細胞死を誘導することで細胞内容物とともに細菌を細胞外に放出し、除菌する機序が報告された。しかし歯周病原細菌感染とカスパーゼ活性化との関連に関する研究はほとんど存在しない。そこで本研究では細胞内侵入歯周病原細菌のクリアランスにおけるカスパーゼ1, 4, 5活性化とピロトーシスの役割について基礎研究を行う。 今年度は歯肉上皮細胞株のHSC-2細胞を使用して、歯周病原細菌(Porphyromonas gingivalis, Aggregatibacter actinomycetemcomitans, Fusobacterium nucleatum)の細胞内侵入能について実験を行った。2時間感染させた後に、ゲンタマイシンとメトロニダゾールで1時間処理し、細胞内に侵入した細菌数を測定した。P.gingivalisは0.36%, A.actinomycetemcomitansは0.04%, F.nucleatumは0.14%であった。細胞への進入はCytochalasin Dにより抑制された。
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