研究実績の概要 |
10-13週齢のICR妊娠マウス32匹に、妊娠8-10日、あるいは妊娠13-15日に1日1回歯周病原細菌を静脈注射した。歯周病原細菌としてPorphyromonasi gingivalis (P.gingivalis), Fusobacterium nucleatum (F.nucleatum)、あるいはP. gingivalisとF.nucleatumの混合を1000000CFU100μl、コントロールとしてPBSを100μl尾静脈から投与した(各グループ;n=4)。妊娠18日目に胎児と胎盤を採取した。胎児の体重測定と胎盤における歯周病原細菌の検出とTLR-2,TLR-4,IL-6, IL-8, IL-1b, TNF-aの遺伝子発現について分析した。 胎児の体重の平均は、どの歯周病原細菌投与群においても、妊娠8-10日と比較し妊娠13-15日の投与グループで有意に小さかった。妊娠8-10日、あるいは妊娠13-15日の投与では、歯周原細菌投与群はコントロールと比較し、有意に小さかった。妊娠8-10日の歯周病原細菌の投与では、F.nucleatum投与により胎盤のIL-6とIL-1bの遺伝子発現が、 P.gingivalisとF.nucleatum混合投与により胎盤のTLR-2とIL-6の遺伝子発現がコントロールと比較して若干上昇した。妊娠13-15日の歯周病原細菌の投与では、F.nucleatum投与により胎盤のIL-6,IL-8,TNF-aおよびIL-1bの遺伝子発現が、 P.gingivalisとF.nucleatum混合投与により胎盤のIL-6,IL-8,およびIL-1bの遺伝子発現がコントロールと比較して上昇した。 本研究により、歯周病原細菌感染により低体重児出産と胎盤での炎症性物質の遺伝子発現の上昇が起こり、その影響は妊娠後期で大きいことが明らかになった。
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