研究課題
1.歯周病原性細菌感染による自然免疫受容体の発現増強と疾患増悪ーP.g.生菌感染群は線毛欠損株(KDP150)又はジンジパイン欠損株(KDP136)感染群と比較して歯肉および大動脈に おけるTLR-2, -4, -9発現の有意な増加を認め、さらに大動脈洞内のプラーク形成面積や骨吸収も有意に増加していた。動脈硬化進展度および骨吸収の割合はP.g。生菌>KDP136>KDP150>CMCの順であった。2.歯周病原性細菌感染による炎症性サイトカイン活性化ーApoeshlマウスへのP.g.生菌の経口感染は、腹腔マクロファージにおけるIL-1β、IL-18およびTNF-α産生を有意に増加した。一方、KDP150及びKDP136は、P.g. 生菌と比較してIL-1β、IL-18およびTNF-α産生の有意な減少を認めた。3.歯周病原性細菌感染によるインフラマゾーム活性化ー ApoeshlマウスへのP.g.生菌感染は、歯肉組織や大動脈起始部においてNLRP3, pro-IL-β, pro-IL-18及びprocaspase-1等のインフラマソーム関連因子や内因性シグナル(HSP60, 酸化LDL)を有意に増強した。一方、KDP136及びKDP150の経口感染は、P.g. 生菌と比較するとインフラマソーム関連因子や内因性シグナル発現は有意に抑制されていた。4.インフラマゾーム構成成分欠損による歯周病原菌感染マウスからの炎症性サイトカイン産生及び動脈硬化誘発機序への影響ーNLRP3欠損マウスへの歯周病原菌感染は野生マウスと比較して、歯肉や大動脈での炎症性サイトカイン(Pro-IL-1及びPro-IL-18)やRANKL、OPG発現を有意に抑制し、歯槽骨吸収や動脈硬化を有意に抑制した。
2: おおむね順調に進展している
ApoeshlマウスへのP.g.感染実験により、IL-1β、IL-18およびTNF-α産生を伴うインフラマソームや内因性シグナルの活性化が認められた。さらにこれらの活性化には、P.g.の病原因子であるジンジパインや線毛が関与していることが示唆された。更に、NLRP3欠損マウスへの感染実験結果から、P.g.で増悪ずる歯槽骨吸収や動脈硬化にはインフラマソームの活性化が深く関わっている事が示唆された。
歯周病原菌感染で生じる歯槽骨吸収や動脈硬化に、NLRP3やASC, Caspase-1等のインフラマソームが深く関連していることが示唆されたので、今後はこれらのインフラマソーム活性化にHSPや酸化LDL等の内因性シグナルがどのように関わっているかを検討する。さらに、歯周病原菌感染によるLDLの酸化変性機序についても検討する。また、酸化LDLで刺激した未熟樹状細胞による制御性T細胞の誘導を試み、歯周病や動脈硬化進展予防の可能性を探る。
Apoeshlマウス供給元の感染事故により供給が一時的にストツプしてしまった為、実験計画が延期になってしまった。
Apoeshlマウスが供給され次第、P.g.感染実験を再開し歯肉の炎症状態を免疫組織染色により明確にし、更に歯肉の樹状細胞やリンパ球の細胞動態をフローサイトメトリーにて解析する。
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