研究課題
本年度は、乳酸菌の経口投与における歯周病並びに歯周病誘発動脈硬化の改善について、歯肉の炎症状態やマウス腸管関連リンパ組織におけるリンパ球の動態について検討した。更に、Porphyromonas gingivalis感染により生じる腸管Dysbiosisに対する影響を検討した。①乳酸菌を5週間にわたりApoeshl欠損高脂血症マウスに経口投与後、P. gingivalis381株を2週間経口感染し、30日後の炎症性サイトカイン発現を解析した。歯肉においては、いずれの乳酸菌もP. gingivalisで増加するIL-1βやIL-18, RANKL発現を有意に減少したが、OPG発現はL. gasseri 03-2投与で減少したものの、L. paracasei JCM1133投与群は逆に増加した。大動脈組織においては、いずれの乳酸菌もP. gingivalisで増加するIL-1β発現を更に増強したが、IL-18の発現はL. gasseri 03-2投与で減少したものの、L. paracasei JCM1133投与群は逆に増加した。②P. gingivalis381株の最終感染から1日後に小腸を摘出し、細胞染色を行った。小腸の粘膜固有層におけるT細胞解析においては、いずれの乳酸菌もP. gingivalisで増加するIFN-g+T細胞の比率を抑制した。特に、L. gasseri 03-2投与で減少が有意であった。更に、いずれの乳酸菌もCD25+Foxp3+T細胞の比率を有意に増加した。一方、P. gingivalis感染で減少するIL-17+T細胞に対しては、L. gasseri 03-2投与で回復が見られたものの、L. paracasei JCM1133投与群ではさらなる減少が見られた。③P. gingivalis381株の最終感染から1日後に糞便を採取し、メタゲノム解析を行った。腸内細菌叢の16s RNA解析においては、P. gingivalis感染によりLactobacillus属の減少、Bacteroides属の増加が認められたが、L. gasseri 03-2投与でLactobacillus属の増加、Bacteroides属の減少が認められた。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件)
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