福島第一原発事故警戒区域内で捕獲した被災牛や野生アカネズミ、野生ニホンザルの歯について、歯質中に含まれる放射性同位元素の量を測定した。その結果、すべての動物の歯にはSr-90や Cs-134, Cs-137が検出され、それらの濃度は、環境の空間線量率に比例していた。また、同一個体内の歯についてみると、原発事故後に形成された歯では高い放射能値を示したのに対して、原発事故以前に形成された歯では低値を示した。これらの事実は、環境中の放射性物質は歯の形成期に歯質中に取り込まれること、また、その量は、歯が形成される時期における個体の内部被曝量を知る重要な指標となり得ると考えられた。
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