研究課題/領域番号 |
26463157
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
品田 佳世子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60251542)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 職域 / 口腔保健 / GCF検査 / 歯周病 / 糖尿病 / 高血圧症 / 脂質異常症 |
研究実績の概要 |
A社健康保険組合被保険者を対象とし、平成27年5月~11月に自記式質問票調査に回答し、歯肉溝滲出液(GCF)検査(「Perio-catcher」(いかがく))を受けた者で、本検査では、lactoferrin(Lf;炎症亢進度)、alpha-1 antitrypsin(AT;出血指標)、aspartate aminotransferase(AST;歯周組織破壊度)を評価した。統計解析はSPSS(IBM)を用い、有意水準p<0.05で比較検討した。 分析対象は3168名(男性2149名:平均年齢44.1歳、女性1019名:平均年齢38.2歳)であった。GCF検査では、Lf平均0.47μg/mL、AT平均0.32μg/mL、AST平均4.68μg/mLであった。Lf値とAST値は男性が女性より有意に高く、Lf値・AT値・AST 値の全てで40歳以上の者は未満の者に比べ有意に高かった。治療中の全身疾患を有している者は12.5%でLf値・AST値が有意に高く、高血圧症(6.0%)はLf値・AT値・AST値 、脂質異常症(4.4%)はLf値、糖尿病(1.5%)はLf値・AT値・AST値が有意に高かった。喫煙者(12.7%)はAST値、週3回以上飲酒する者(47.5%)はLf値・AST値、夜勤・交代勤務者(28.8%)はAST値が有意に高かった。一方、歯間清掃実施者(41.7%)はAT値・AST値、定期的歯科検診受診者は(26.5%)AST値が有意に低かった。 生活習慣病の中でも糖尿病、高血圧症、脂質異常症と歯周病と関連するGCF値との関連性がみられた。また、喫煙、飲酒、夜勤・交代勤務などが、歯周組織破壊度を表すAST値が高かったことから歯周病の進行への予防対策が必要と考えられる。そのためには、歯間清掃用具の使用や歯科定期検診などの予防的行動の普及のアプローチが必要であると考えらえた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究協力企業との協力体制のもと、生活習慣病と歯周病との関連性がより明確になりつつある。歯周病予防に関する情報提供を1年に5回行っており、その効果に関する検証も行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成28年度の調査を行うとともに、平成26年度、平成27年度に実施した質問票調査、GCF検査(歯周病簡易テスト)、一般健康診断、特定健康診査、医療費等のデータをマッチングし、口腔と全身、医療費等との関連性と2年間の情報提供の効果も検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、平成28年度も継続して、歯周病簡易テスト(GCF検査)や質問票調査、口腔保健や健康に関する情報提供を行う予定である。また、平成27年度中に分析が十分に行えなかった部分があり、平成28年度に詳細に行うために費用が必要となるため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の口腔保健や生活習慣に関する質問票調査、GCF検査、口腔保健や健康に関する情報提供を実施する。また、平成26年度、平成27年度の口腔、全身および医療費のデータをマッチングさせ、解析し、学会発表、論文発表、報告書等の作成を予定しているので費用が必要となる。
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