研究実績の概要 |
申請者らは、自記式調査票によってかなり正確な口腔状態のデータが得られる歯科医師を対象とした大規模コホート研究「歯科医師を対象とした歯と全身の健康、栄養との関連に関する研究」を2001年に開始し、現在に至るまで追跡調査を継続している。2001~2006 年に調査票によるベースライン調査が実施され、全国46 都道府県歯科医師会に所属する21,272 名(平均年齢±標準偏差:52.3±12.3歳)が参加した(Wakai K. et al. J Epidemiol 2009; 19:72-80)。 本研究の目的は、現在追跡中の参加者について、二時点での口腔状態(とくに歯周病や歯牙喪失)の変化と疾病罹患(がん、虚血性心疾患、脳血管疾患、骨粗鬆症関連骨折などの生活習慣病)、健康寿命と関係の深いADLやQOLとの関連を明らかにすることである。さらに生活習慣の変化と口腔状態の変化の関連について検討を進める。これらの結果をもとに、各年代での口腔の健康維持の重要性、および口腔の健康維持における生活習慣の寄与を示すことを最終目標としている。 今年度は追跡調査および第二次調査を実施した。具体的には、46都道府県歯科医師会に研究協力依頼をおこない、40歯科医師会から承諾が得られた。都道府県歯科医師会単位で調査を実施し、2017年3月末時点で8,449名(応答率58%)の回答を得た。現在、データ入力、データクリーニングを経て、データセット作成を進めている。さらに、口腔の健康とADLやQOLの関連について最新の知見を得るための情報収集を行った。ベースライン調査と追跡調査データを用いた解析を進めた。ニュースレターの発行や講演会を通して、これまで得られている研究成果の還元を行った。
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