研究課題/領域番号 |
26463163
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
渡辺 朱理 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80585026)
|
研究分担者 |
横田 憲治 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (00243460)
苔口 進 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10144776)
松山 美和 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30253462)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 在宅歯科医療環境 / デンタルユニット給水系 / ATP測定法 / 歯ブラシ / 付着口腔内細菌 |
研究実績の概要 |
現在の歯科医療は、要介護高齢者や易感染性宿主に対する歯科治療や口腔ケアの重要性が認識され、在宅歯科医療の機会が増えている。そのため、周囲環境の感染予防対策はますます重要となっている。本研究では、在宅歯科医療における感染予防対策を充実させ、在宅歯科医療環境への感染予防対策の導入を検討するために、1)在宅歯科医療環境における細菌汚染状況調査、2)在宅歯科医療環境の感染予防対策評価指標への実証検討を目的に研究を行った。そこで、平成26年度は、以下のような成果を得て、研究を継続している。 1.歯科用デンタルユニット給水系(DUWLs)の配管内からはバイオフィルム形成が認められている。今年度は、食品衛生検査指標に記載されている液体専用清浄度検査ATP測定法を使用してDUWLsの水質調査を行った。デンタルユニットの各給水箇所からの試料水のATP値はそれぞれ異なり、水質(清浄度)に違いがみられた。特に給水箇所の使用頻度によってATP値に大きな差がみられた。また、2分間のフラッシング後にはATP値の大幅な減少を認めた。 2.DUWLsの汚染状態を、細菌培養検査と液体専用清浄度検査ATP測定法で比較した結果、R2A培地で培養された従属栄養細菌コロニー数とATP値とには強い相関が認められた。液体専用清浄度検査ATP測定法は、水質モニタリングや評価また定期的な水質管理に有用であることが示唆された。 3.歯ブラシを連続使用することで歯ブラシへの付着口腔内細菌数の変化を調べた。1ヶ月間連続使用した歯ブラシには、毛先の広がりとともに歯ブラシへの付着口腔内細菌の増加が認められた。また歯ブラシの構造、硬さや使用時間などの使用条件別の比較においても、連続使用した歯ブラシへの付着口腔内細菌数に変化は見られなかったため、定期的な交換が必要であるといえる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
在宅歯科医療環境における細菌汚染状況調査で、DUWLsにおける液体専用清浄度検査ATP測定法の適用そして歯ブラシへの付着口腔内細菌状況に焦点をあて、研究計画書に示した項目について、研究分担者と研究協力者と協力して概ね進めることができた。DUWLsにおける液体専用清浄度検査ATP測定法の適用では、DUWLsの汚染状況調査に液体専用清浄度検査ATP測定法を用いて行った。従属栄養細菌コロニー数とATP値とには強い相関が認められ、水質モニタリングや評価に有用であることを明らかにした。また歯ブラシへの付着口腔内細菌状況では、主に連続使用した歯ブラシへの付着口腔内細菌数の変化について調べた。歯ブラシの使用条件別でも連続使用を行い、在宅歯科医療で使用頻度の高い歯ブラシにおける付着口腔内細菌数から定期的な交換が必要であることを実証した。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度の成果を基に、次年度以降も、患者の唾液や血液などが周囲にミストとして飛散する汚染状況調査などにATP測定法を適用した在宅歯科医療環境調査を引き続き行い、感染予防対策評価指標の策定に向けて、更なる検討を行っていく予定である。さらに、院内感染原因菌としてMRSAに加え、MRCNSも医療現場だけでなく市中でも蔓延していることにより、MRSA遺伝子保菌状況や分布状態調査もあわせて行い、在宅歯科医療における感染予防対策やそこに関わる医療従事者に向けての感染予防対策教育へ繋げていけるように研究を進めていきたいと考える。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成27年3月11日~14日に行われた93rd General Session & Exhibition of the IADR (Boston, Massachusetts, USA)での研究成果発表および最新の研究情報収集、学会中に海外研究者との研究打ち合わせのための海外出張旅費にあてたため
|
次年度使用額の使用計画 |
海外における学会での研究成果発表および最新の研究情報収集また学会中に海外研究者との研究打ち合わせのための海外出張旅費にあてた。
|