研究課題
本研究では、在宅歯科医療環境の感染予防対策の充実や整備に向けた適切な導入方法やその評価を検討するために、1)在宅歯科医療における環境細菌汚染調査、2)在宅歯科医療環境における感染予防対策指標や基準の策定と評価を目的に研究を行ってきた。平成26、27年の実績を基に28年も引き続き研究を行い、以下のような結果と課題を得た。なお、これまでの結果の一部は現在、英語論文として取りまとめている。1.メチシリン耐性ブドウ球菌の病院内環境における分布調査を行った。病院内環境からは、Staphylococcus aureusが13.8%、表皮ブドウ球菌に代表されるコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)が77.8%の割合で検出された。薬剤耐性菌率の割合は、一般病室ではS. aureusは16.7%、CNSで22.9%であったが、MRSA保菌患者の病室では、S. aureus、CNS共に100%であった。特に患者が触れるナースコールやサイドレールやベッドサイドの床からMRSAが多く検出された。2.タバコシバンムシの生息状況調査を行った歯科医院を対象に、タバコシバンムシに関する意識調査を行った。ほとんどの歯科医院が、病原昆虫であるタバコシバンムシを知らないとの回答であり、特に何も対策を行っていないという歯科医院が多くみられた。すべての歯科医院から生息調査で興味を持ったとの回答があり、感染予防対策充実に繋がる可能性が示唆された。3.在宅歯科医療を行う一般居住環境中におけるタバコシバンムシの生息状況調査を行った。居住環境中でのタバコシバンムシの捕集数は2カ月間で約1800匹であり、今回捕集したタバコシバンムシからはBacillus cereus、Bacillus siamensisなどの細菌が検出された。タバコシバンムシが病原細菌を媒介する可能性も示唆された。
すべて 2016 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
巻: 20 ページ: 3-10
New Microbiologica
巻: 39 ページ: 143-145
日本歯科衛生教育学会雑誌
巻: 7 ページ: 58-64
Journal of Hospital Infection
巻: 94 ページ: 393-396
DOI: 10.1016/j.jhin.2016.08.001
http://pub2.db.tokushima-u.ac.jp/ERD/person/261377/work-ja.html