研究課題/領域番号 |
26463167
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
五月女 さき子 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (20325799)
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研究分担者 |
於保 孝彦 鹿児島大学, 歯学部, 教授 (50160940)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 口腔ケア / 周術期 / 心理尺度 |
研究実績の概要 |
口腔は、摂食や会話など複数の機能を持つ器官である。口腔を含む頭頸部腫瘍では口腔内の形態的・機能的な変化が起こり、それに伴う口腔衛生環境の悪化や心理的変化が生じる。口腔ケア介入の効果は示唆されているが、心理的変化との関係は未だ明らかにされていない。本研究は口腔ケア介入時に歯垢や吐出液を採取して、細菌叢や細菌数の経時的な変化をreal-time PCR法を用いて検証し、口腔内の状況との関連を明らかにすること、口腔保健行動に特化した心理尺度を用いて口腔内状況との関連を明らかすること、得られた尺度データから潜在因子を抽出し、将来への意味のあるパターンを発見すること、これらを総合的に評価して患者に負担の少ない簡便で有効な口腔ケアにおける口腔清掃度の評価法を確立することを目的とする。研究2年目の今年度は昨年度に引き続き調査対象患者の選定を行い、以下の項目を調査する。口腔内細菌採取:非侵襲性の簡便な評価法を用いる。洗口吐出液:3mlの蒸留水を口に含んでもらい、10秒間軽くリンスした後にチューブに回収する。②舌苔:舌背有郭乳頭から舌尖部の付着物を採取する。③歯面歯垢:下顎前歯部唇側歯面の付着物を滅菌綿棒にて採取する。④乾燥度測定:キソウエットにて舌背の湿潤状態を測定する。3.口腔内診察:①硬組織検査:う蝕経験(DMF)②歯周疾患診査:(PMA index) ③歯垢付着診査:(Oral hygiene index(OHI)の DI) 4.口腔保健指導:周術期口腔機能管理計画策定書に基づきブラッシング指導、歯除去等行い、セルフケアが行えるように指導する。専門家による機械的歯面清掃を行う。5.心理的変化の測定:申請者らが作成した「口腔保健行動に対する自己効力感尺度」及び「口腔保健行動に対するローカスオブコントロール尺度」を用いて調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年、対象患者数が少なく継続して選定を行った。これに関しては、実際に口腔癌の治療を行う口腔外科における治療方針が若干変更となったことで治療期間が長くなる傾向にあった。それに伴って入院期間が延長し、新規対象患者獲得のペースが遅くなった。 また、研究申請者所属機関の異動が発生し、前所属機関での新規患者獲得が困難になった。
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今後の研究の推進方策 |
異動前に得られた対象患者数で細菌学的調査を行う。 細菌の測定:①総菌数の測定。ユニバーサルプライマー(Nadkarni et al., 2002)を用いて real-time PCR で測定する。②日和見感染関連細菌の検出。・Pseudomonas aeruginosa・Klebsiella pneumoniae・Serratia marcescens・Candidaaibicans。過去の文献から各菌に特異的なプライマーを設計し、real-time PCR にて細菌数を定量する。3.統計解析による検討: ①尺度得点による検討多重検定により検討する。項目間および尺度との関連は Spearman の順位相関係数を用いる。②アンケート調査。各項目の回答肢を 2 分化して、各項目間の比較はχ2検定にて検討する。③尺度得点と口腔内指標との関連の検討。「尺度得点が高い人は、口腔状態が良好で、口腔内についての意識が高くセルフケア行動を積極的に行っている」という仮説を立て検討する。④口腔保健指導介入前後による口腔内清掃度の変化:初回時と退院時の口腔衛生状況と尺度得点の比較を Wilcoxon の順位検定に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要物品の調達が間に合わなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
データ解析ソフトを購入予定
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