研究課題/領域番号 |
26463169
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
大迫 文重 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10398406)
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研究分担者 |
山本 俊郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40347472)
喜多 正和 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60153087)
金村 成智 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70204542)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | カルテノイド |
研究実績の概要 |
β-クリプトキサンチン(β-cryptoxanthin 以下、β-cry)は、温州みかんに豊富に含有されているカロテノイドで、日本人における血中濃度が外国人と比較して高いことが知られている。近年、数多くの研究からβ-cryの健康増進作用は、他のカロテノイドに比べ、勝るとも劣るものでなく、発がん抑制作用や抗酸化作用、糖尿病や骨粗鬆症の予防、体脂肪低減効果や美容効果が明らかになっている。がんをはじめとした疾病に対する周術期の口腔機能管理は、重要であることが知られつつある。この際、しばしば遭遇し治療に難渋するのが口腔粘膜炎である。薬剤性の口腔粘膜炎は、口腔粘膜に対し化学療法で用いられる抗悪性腫瘍剤によって生じる白血球数の減少が局所感染を引き起こすこと(炎症作用)や活性酸素が酸化ストレスを与えること(酸化作用)で発症する。本研究の目的は、薬剤性の口腔粘膜炎に対する予防や治療を目的としたβ-cryの新たな可能性を検討することである。 本年度は、ケラチノサイト細胞を用いて、抗悪性腫瘍剤に対する各細胞の影響とβ-cryの効果について検討した。加えて抗悪性腫瘍剤を用いてマウス口腔粘膜炎を作成した。 β-cryの予防効果を検討するために、β-cry群(ケラチノサイト細胞に対して、β-cryで処理後2時間培養した群)とコントロール群に対して5-フルオロウラシル(以下、5-FU)を24時間刺激させ培養、5-FU群、β-cry群+5-FU群、コントロール群+5-FU群を作製した。一方、治療効果を検討するために、ケラチノサイト細胞に対して5-FU群を24時間刺激させ培養し、β-cry群あるいはDMSO群を添加し2時間培養、5-FU群+β-cry群、5-FU群を作製すした。細胞活性試験やサイトカイン遺伝子発現の分析を行っている。しかし、サンプル数が少ないため評価するに至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、薬剤性の口腔粘膜炎に対する予防や治療を目的としたβ-cryの新たな可能性を検討することである。ケラチノサイト細胞培養に難渋し、in vitroでの実験に耐えうるサンプル数に達していないのが現状である。現状のサンプル数では比較検討ができていないのが現状である。 また次年度・次々年度に予定していた、in vivoの動物の抗悪性腫瘍剤による口腔粘膜炎モデルの作成を開始した。口腔粘膜炎モデルの作成は概ね良好にすすんでいる。
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今後の研究の推進方策 |
現在までケラチノサイト細胞培養に難渋し、in vitroでの実験に耐えうるサンプル数に達していない為、再度培養方法等を検討し、サンプル数を増やし、様々な炎症性サイトカインや抗酸化ストレスサイトカインの遺伝子発現の分析とタンパク産生分析を行う予定である。 同時に歯肉線圍芽細胞を利用し同様の実験を行う予定である。 加えて、動物口腔粘膜炎モデルを作成し、β-cryの粘膜炎に対する治療効果や予防効果について組織学的および免疫学的検討を行う。
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