研究課題
本研究は、「乳幼児のう蝕罹患に関する要因」、特に従来実施されてきた「卒乳の時期」や「ほ乳瓶の使用」などの生活環境の改善だけでは、う蝕予防対策としては不十分であるという学術的背景をもとに、「う蝕多発傾向およびう蝕の受療行動に関して地域格差をもたらす社会的決定要因」を解明する事を目的としている。本研究のデザインは、北九州市が実施する1歳6か月児歯科健康診査の受診者を対象としたコホート研究(ベースライン調査:1歳6か月時、追跡調査:3歳時)である。北九州市内の歯科医療機関(個別歯科健診)の協力のもとベースライン調査を開始し、月毎のデータを収集する。同様に追跡調査(3歳児歯科健診)を実施する。ベースライン調査データと追跡調査データは母子健康手帳に記載されている番号で突号を行う。得られた結合データから新規う蝕発生に関する要因、う蝕多発傾向に関する要因およびう蝕治療に関する要因をマルチレベル分析で検討する。平成26年4月から平成29年10月まで、母子保健法に規定する1歳6か月児歯科健康診査の受診者を対象に、次の項目1)生活習慣・行動要因および社会的決定要因に関する質問紙調査(自記式):保護者の教育レベルおよび世帯収入等、先行研究を参考に、3つのアウトカム(新規う蝕発症、う蝕多発傾向、う蝕受療行動)に影響を及ぼす項目2)口腔内診査を実施した。解析にあたっては、1歳6か月時における生活習慣などの各項目とう蝕の有無との関連を単変量解析で評価した。また、う蝕の有無(う蝕なし=0、あり=1)を目的変数とし、単変量解析で有意(p<0.05)な関連を認めた項目を説明変数として多重ロジスティック回帰分析を行い、う蝕に影響を及ぼす要因を検討した。さらに「う蝕多発傾向」および「う蝕の受療行動」に関する地域格差をもたらす社会的決定要因をマルチレベル分析で検証した。
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