研究課題/領域番号 |
26463172
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
有川 量崇 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (50318325)
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研究分担者 |
小林 良喜 日本大学, 松戸歯学部, 助手(専任扱) (10609085)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 水素水 / 口内炎 / 口内炎モデルラット / 抗炎症効果 |
研究実績の概要 |
口内炎は軽症・重症に関わらず苦痛をもたらし、摂食障害はもとより、コミュニケーション機能の低下や睡眠障害を引き起こす原因となり、QOLに甚大な悪影響を及ぼす。本研究では、口内炎モデルラットを用いて、水素水による口内炎の治療および予防効果を評価した。本実験は日本大学松戸歯学部動物実験委員会の承認を得ている(AP14MD017号)。まず口内炎モデルを作成した。セボフルラン麻酔下で、ラット舌表面に100℃に熱した六角棒スパナ(直径3mm、クロムモリブデン鋼製、株式会社エイト)を、無圧にて1秒間接触し、口内炎様症状を誘発した。続いて、このモデルラットを用いて口内炎への水素水の効果を評価した。実験開始1週前から、ラットに水素水(水素水群)・脱水素水(対照群)を自由摂取させ、その後、前述の方法で口内炎を誘発した。口内炎誘発1日後、セボフルラン麻酔下で規格化写真を撮影し、さらに炭酸ガスによる安楽死後、病変部周囲の舌組織を採取しQIAamp DNA Mini Kit(QIAGEN)を用いて全DNAを抽出した。そしてリアルタイムPCR法により、炎症性因子IL1β、IL6、IL12α、TNF、Icam1、IFNγの遺伝子発現量を測定した水素水群では対照群と比べて、IL6の遺伝子発現量が有意に減少していた。また、IL1β、IL12α、TNF、Icam1、IFNγの遺伝子発現量はすべて、水素水群で対照群と比較し減少傾向を示した。口内炎に関する実験はヒトを対象に市販薬や食品を用いて行われているが、疾患モデル動物や細胞等によるin vitro実験は確立されていない。本研究で作成した、ラット口内炎モデルには今後の口内炎研究を発展させる可能性があると思われる。また、水素水はIL6低下による抗炎症効果をもち、口内炎治療や予防に有益であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
口内炎モデルラットの作成と口内炎評価方法構築を成功したことによって、研究が順調に進展するようになった。前年度は口内炎モデルラット作成や口内炎評価方法構築に手間取っていたが、本年度は前半にそれらが解決し、動物実験に移行することが出来、リアルタイムPCR法により、炎症性因子IL1β、IL6、IL12α、TNF、Icam1、IFNγの遺伝子発現量を測定し、比較検討できたことが大きな要因である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度までに確立した「口内炎モデルラット」を用いて、水素水による口内炎治癒のメカニズムを検討する。ラットに水素水・脱水素水を自由摂取させ、口内炎誘発後、病変部周囲の舌組織を採取し全DNAを抽出、リアルタイムPCRアレイシステムにより炎症関連遺伝子発現を網羅的に解析し、水素水が影響を及ぼす因子を同定する。さらに、同舌組織のタンパク質サンプルを用いてウエスタンブロット法により、これら因子のタンパク質発現を解析し、水素水の口内炎治癒メカニズムを解明する。また、それと並行してヒト臨床研究も進める予定である。
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