研究課題
口臭の主成分である揮発性硫黄化合物は口腔内の嫌気性菌がアミノ酸を分解することによって発生する。舌は表面積が大きく、舌苔の蓄積にともない細菌数と基質となるタンパク質量とが増加するため、口臭の発生部位として重要である。喫煙者ではタバコの煙が舌表面を直接曝露するため、舌苔細菌叢は非喫煙者のものとは異なると推測される。本研究では、健康な口腔内環境をもつ被験者から唾液と舌苔を採取し、喫煙者と非喫煙者とで細菌叢を比較し、喫煙による口腔細菌叢の変化が口臭に与える影響を調べた。菌叢解析の結果、多様性解析では喫煙群と非喫煙群との間に有意な違いはみられなかったが、属レベルで比較したところ、喫煙群ではDialister属やAtopobium属等、口腔内の病的状態と関係する細菌が高い割合でみられた。またブリンクマン指数(1日喫煙本数×喫煙年数)との相関分析では、歯周炎等の病的状態で多く分離される運動性桿菌であるSelenomonas属が正の相関を示した。論文執筆のために喫煙と口腔細菌叢に関する過去の研究報告を収集したところ、舌苔細菌叢についての研究は殆どないが、歯肉縁下細菌叢については多くの研究報告があった。歯周病患者は舌苔が蓄積しやすく、歯周病由来の口臭の主な発生部位も舌苔であることが報告されている。そこで喫煙と歯周病関連細菌との関係についての研究論文を収集し、総説にまとめ発表した (JDSR, in press, 2019)。また口臭の発生メカニズムについて口腔内細菌の関わりに焦点をあてた総説を執筆した (Mol Oral Microbiol, in press, 2019)。
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JDSR
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