研究課題/領域番号 |
26463176
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
大家 知子 福岡歯科大学, 歯学部, その他 (70720473)
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研究分担者 |
米田 雅裕 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (10253460)
桝尾 陽介 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (40631693)
岩元 知之 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (70611458) [辞退]
古賀 千尋 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80258417)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | S-PRG |
研究実績の概要 |
界面機能性ガラスsurface pre-reacted glass-ionomer (S-PRG) はデンタルプラークに強い歯科材料として注目されており、これまでにS-PRG配合レジンの抗プラーク作用や、S-PRG含有根管充填剤の抗菌作用が報告されている。その有効因子のひとつとして、S-PRGのイオン徐放性が示唆されている。S-PRGはフッ素、ホウ素、ストロンチウム等様々なイオンを放出することが知られており、細菌の生物活性に影響をおよぼしていると考えられる。 S-PRG溶出液はP. gingivalisのプロテアーゼ活性(BAPNA分解活性)を抑制した。P. gingivalisのプロテアーゼは様々な生物活性を有し、歯周炎の発症、増悪に強く関わっている。S-PRG溶出液による抑制メカニズムは不明であるが、プロテアーゼと金属イオンの結合をS-PRG溶出液中の各種イオンが競合阻害している可能性が考えられる。また、S-PRG溶出液はP. gingivalisのゼラチン分解活性も抑制した。ゼラチン分解活性は修復物の脱離に関係すると考えられており、S-PRG含有材料は修復治療の長期予後を良好にすることが期待できる。また、S-PRG溶出液はP. gingivalisとF. nucleatum の共凝集も抑制した。共凝集の抑制についてもS-PRG溶出液中の各種イオンが関与している可能性がある。今後、酵素活性や共凝集の抑制メカニズムを解明する必要がある。 グラム陽性菌のバイオフィルム形成に対してはS-PRG溶出液が抑制的に働くことが明らかになった。さらに、唾液のバイオフィルムの形成阻害や破壊をする能力があることが明らかになった。 今後は口臭抑制等、QOLの向上に関する影響を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題の領域は国内、国外で研究者が増加しており競争も熾烈になってきている。共同研究者が一丸となって研究を行った結果、当初の予定以上の成果が出ている。今後、発表予定の研究結果もあり、さらに新規の研究にも取り組む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定よりも約半年程度、早く進展していると思われる。今年度は現在の研究をさらに進め口臭等に対する影響も調べる予定である。論文作成のペースが予定より早くなったため投稿料や印刷料を想定以上に支出した。今後の経費配分を再検討する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用可能額を平成26年度中に支出する予定だったが、旅費の一部を3月に支出したため平成26年度の経費として計上されなかった。また、出版社から論文投稿料の請求が遅れたため平成27年度中に支出する必要が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度末に使用した旅費、平成26年度中に発表した論文の投稿料を早期に支出する。その後、通常の研究経費を支出する予定である。
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