研究課題/領域番号 |
26463178
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
玉置 洋 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (50386827)
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研究分担者 |
佐藤 慶太 鶴見大学, その他部局等, 教授 (00280975)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医療事故 / 歯科 / インシデントレポート / スイスチーズモデル |
研究実績の概要 |
平成27年度は前年度に電子化したデータからクロス集計を行い、この8年間でインシデントの特徴がどのように変化をしたかを調べるため記述統計的な分析を行った。 2004年度と2012年度のインシデントレポートはそれぞれ300件と277件であった。有害事象が発生した割合は2004年度は14.7%(44件)であったが、2012年度は30.3%(84件)と増加していた。 次に有害事象の有無と各要因のクロス集計を行い2004年度と2012年度の比較を行った。カイ二乗検定の結果、2004年度と2012年度ともに医療従事者の職種、医療従事者の年代、インシデントの発生時間に有意差を認めた。2012年度ではさらに発生場所の項目にも有意差を認めた。 医療従事者の年代については2004年度と2012年度ともに50-59歳でそれぞれ有害事象発生率が30.0%、38.9%と高かったが、2012年度はさらに20-29歳において41.1%と特に高くなっていた。 職種については2004年度において研修医・学生での有害事象発生率が37.2%と高く、20012年は同カテゴリーでの発生率が50.0%とさらに上昇していた。さらに20012度は歯科医(卒後5年未満)において有害事象発生率が18.4%から50.0%に上昇していた。曜日については2004年度と2012年度ともに土曜日が31.8%、41.4%と高かったが、2012年度は金曜日においても有害事象発生率が38.6%と高くなっていた。発生時間については2004年度は11-12時、16-17時の時間帯において34.4% 、27.3%と高かったが、2012年度では12-13時の時間帯において66.7%と特に高くなっていた。 発生場所については2004年度は特に高い要因はなかったが、2012年度は手術室・技工室において58.8%と発生率が高くなっていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では歯学部病院に安全管理のための指針の整備,安全管理委員会の設置,院内報告制度の整備,安全に関する職員研修等の実施が義務づけられた直後の2002年度と10年後の2012年度について比較検討する予定であったが、2002-2003年度は報告数が安定していなかったため、報告が定着した2004年度と8年後の2008年度を比較検討することに研究計画を修正した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は記述統計的な分析を行ったが、平成28年度はReasonのスイスチーズモデルで示されるように、いくつかの要因が重なったときの条件付確立を多変量分析で分析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担研究者が本年度予定していた学会への参加が延期となったため、旅費は持ち越した。また研究の進捗状況に合わせて一部の物品費を次年度に持ち越した。
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次年度使用額の使用計画 |
旅費は学会参加のために使用する。また物品費は次年度に必要な消耗品費として使用する。
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