研究実績の概要 |
平成27年度までに岡山大学病院歯科医師臨床研修で活用している電子ポートフォリオの入力データ数は39,280となり,その内,修復5,044,歯内療法3,832,歯周治療1,6711,クラウンブリッジ補綴5,585,義歯補綴5,349であった。これらのテキストデータを研修歯科医の治療での感想,今後の課題に分け,WordMiner(日本電子計算株式社)でテキストマイニング処理を行った。その結果,頻回に出現した言葉は,修復では患者とう蝕除去(感想),患者と勉強(課題),歯内療法では根管と拡大(感想),根管充填と勉強(課題),歯周治療では患者と診療(感想),勉強と診療(課題),クラウンブリッジでは形成とTEK(感想),必要と形成(課題),義歯補綴では義歯と調整(感想),患者と勉強(課題)などであった。そこでこれらの結果を参考に, 27年度までに電子ポートフォリオの入力内容から有用なものを選別して,キーワードで検索できるシステムを試作した。ソフトはファイルメーカー(FileMaker Inc.)を利用し,研修歯科医の感想・研修歯科医が考える今後の課題・指導歯科医のコメントの各項で研修歯科医がキーワード検索で役立つ内容を読み先輩の経験から学んで,実際の治療の事前準備ができるようにした。平成28年度研修修了直前に研修歯科医にアンケートをとったところ, 48名中利用者は26人,54.1%で,残念ながらさほど活用されていなかったが,これは最終的なシステム構築が研修年度の最終時期になったためであろう。役立った内容としては,失敗事例,技術的な問題,成功事例,患者への指導・対応の順であった。また,システムは研修に役立つかの質問では,27人/48人(56.3%)がポジティブな回答であった。ただし,利用したことの無い者に理由を尋ねると使い方がわからないが半数で,さらに利便性を高める必要が認められた。
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