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2017 年度 実績報告書

歯科医師が診断をくだす過程で有効な言語情報について-暗黙知を形式知化する-

研究課題

研究課題/領域番号 26463190
研究機関九州歯科大学

研究代表者

鬼塚 千絵 (農蘇千絵)  九州歯科大学, 歯学部, 講師 (60336956)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード医療面接 / 言語情報 / 歯科疾患 / 診断 / 熟達化
研究実績の概要

医療従事者は、患者から情報収集する時や治療法を説明する時には患者が分かりやすい一般用語を使用している。しかし、得られた情報を他の医療関係者に伝達する時や診断を考える時には頭の中で専門用語に変換していることが多い。 臨床経験の豊富な歯科医師が医療面接において患者からどのような言語情報を優先的に得ることや診断および治療方針を決定するかに ついて、その思考過程や熟達化プロセスを明らかにすることを目的に本研究を行った。
痛みを伴う急性の歯科疾患を診断するために必要な言語についてアンケート調査ならびに診断過程についての半構造化インタビューを行った。
「急性智歯周囲炎」について学習前後の学生、研修歯科医、臨床経験の違いに応じた歯科医師の各群による違いについて分析した。歯茎が腫れている、口を開けることが辛い、リンパ節が腫れている、唾を飲み込むと痛い、歯が埋もれている、ズキズキと痛むなどの言語情報を重視していることが明らかになった。臨床経験を積んだ歯科医師と若手の歯科医師の 間に言語情報に対する認識および思考過程の違いがあることを明らかにした。2つの群では口を開けることが辛い、唾を飲み込むと痛い、リンパ節が腫れている、歯が埋もれている、顔(あご)が痛い、喉が腫れているなどの言語情報について認識の違いが認められた。このことから、教科書や成書からの情報収集のみならず、経験を積むことで、患者からの言語情報情報の取捨選択について曖昧さか らパターン認識化していることが示唆された。インタビュー結果からも自身の経験を振り返り、同僚や上級医の振る舞いを見て、診断プロセスを獲得していくことが明らかとなった。
「急性化膿性根尖性歯周炎」については、臨床経験の差異は認められなかった。歯科医師は視覚情報(視診・レントゲン等)を得ることが容易であるため、言語情報のみではなく他の情報を統合し診断していることが示唆された。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] どのようにして研修歯科医は主体的な診療実践ができるようになるのか2018

    • 著者名/発表者名
      板家朗、鬼塚千絵、永松浩、今福輪太郎、木尾哲朗
    • 雑誌名

      医学教育

      巻: 49(1) ページ: 23-33

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 九州歯科大学歯学部口腔保健学科学生の学修目標の変化とカリキュラムの係わり2017

    • 著者名/発表者名
      福屋祐子、中村由紀、中村桃子、鬼塚千絵、渕上祐子、山口紫乃、柴崎桂子、松下智美、永松浩、木尾哲朗、秋房住郎、引地尚子、柿木保明、冨永和宏、寺下正道
    • 雑誌名

      九州歯科学会雑誌

      巻: 71(4) ページ: 75-81

    • 査読あり
  • [雑誌論文] シンポジウムⅢ 診療参加型臨床実習に参加する学生への患者からの評価を考える2017

    • 著者名/発表者名
      羽村章、鬼塚千絵、藤井健男、大津光寛、斎藤隆史
    • 雑誌名

      日本歯科医学教育学会雑誌

      巻: 33(3) ページ: 146-148

  • [雑誌論文] 九州歯科大学附属病院研修歯科医宿泊研修の実施内容と検証―平成20年度から平成27年度までの8年間のまとめ―2017

    • 著者名/発表者名
      鬼塚千絵、永松浩、鯨吉夫、木尾哲朗
    • 雑誌名

      日本歯科医学教育学会雑誌

      巻: 33(3) ページ: 146-148

  • [雑誌論文] 急性智歯周囲炎と診断をくだすために必要な言語情報に関する検討-「初学者」と「熟達 者」における情報判断の差異-2017

    • 著者名/発表者名
      鬼塚千絵
    • 雑誌名

      Research Bulletin of SCIENCE of EDUCATION

      巻: 16 ページ: 65-66

  • [学会発表] シンポジウムⅢ 診療参加型臨床実習に参加する学生への患者からの評価を考える「診療参加型臨床実習での評価はどうあるべきか」.2017

    • 著者名/発表者名
      鬼塚千絵
    • 学会等名
      第36回日本歯科医学教育学会総会および学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 診療の現場における研修歯科医の成長プロセス2017

    • 著者名/発表者名
      板家朗、鬼塚千絵、永松浩、今福輪太郎、木尾哲朗
    • 学会等名
      第49回日本医学教育学会大会
  • [学会発表] 上顎中切歯欠損時の修復治療法選択に関する因子について-思考過程の検討-2017

    • 著者名/発表者名
      御手洗直幸,鬼塚千絵,板家朗,伊藤香恋,永松 浩,木尾哲朗
    • 学会等名
      第10回日本総合歯科学会総会・学術大会
  • [学会発表] 上級医との関わりが歯科医師の成長を促す―若手歯科医師の成長プロセスから―2017

    • 著者名/発表者名
      板家朗、鬼塚千絵、今福輪太郎、永松浩、木尾哲朗
    • 学会等名
      第9回日本ヘススコミュニケーション学会学術大会
  • [学会発表] もし前歯が折れて抜くことになってしまったら,あなたはどうしますか?-上顎右側1番欠損時における治療法の選択とその思考プロセスについて-2017

    • 著者名/発表者名
      御手洗直幸,鬼塚千絵,伊藤香恋,木尾哲朗
    • 学会等名
      九州歯科大学研究室配属発表会
  • [学会発表] 高齢の患者と良好な関係を築くまでのプロセス2017

    • 著者名/発表者名
      角野夢子、鬼塚千絵、永松浩、木尾哲朗
    • 学会等名
      第10回日本総合歯科学会総会・学術大会
  • [図書] 基礎理論と臨床をつなぐ歯科医療コミュニケーションガイドの開発2017

    • 著者名/発表者名
      鬼塚千絵、永松浩、大住伴子、木尾哲朗.
    • 総ページ数
      5
    • 出版者
      岡山

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公開日: 2018-12-17  

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