研究課題/領域番号 |
26463191
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研究機関 | 奥羽大学 |
研究代表者 |
清浦 有祐 奥羽大学, 歯学部, 教授 (90194951)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Candida albicans / 口腔カンジダ症 / 炎症性サイトカイン / 抗体医薬 / 抗菌ペプチド |
研究実績の概要 |
本研究は、高齢のリウマチ患者への抗体医薬使用による免疫抑制がカンジダ症を起こすメカニズムを口腔カンジダ症マウスモデルによる in vivo 実験によって解明すると共に、新しい抗菌性物質を使用した予防法を確立することを目的とする。 本年度は、以下の結果を得た。1. 抗IL-6抗体、抗TNF-α抗体または抗IL-1α抗体投与によるICRマウスの体重減少はなく、感染防御能低下以外の点でマウスの全身に大きな影響を与えることはないと結論付けられた。2. 免疫機能における影響を調べるために、マウスの脾臓重量を測定したが、抗体投与後にコントロール群と比べて有意な差はみられなかった。3. 関節リウマチの治療法として、テトラサイクリン系抗菌薬の使用があることから、マウスに塩酸クロルテトラサイクリン溶液を投与後、Candida albicans を定着させ菌数を検討した。その結果、コントロール群と比べて、マウスの口腔細菌数は減少し、C. albicans の口腔内定着は増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
雑誌論文を発表した。また、研究実績の概要でも述べた通り、ICRマウスにおける抗体投与は感染防御能低下以外の点でマウスの全身に大きな影響を与えることはないので、テトラサイクリン系抗菌薬によって増加した C. albicans の口腔内定着のみ抑制すれば良い予防法を得られるためである。すなわち、テトラサイクリン系抗菌薬に耐性である微生物にも効果がある抗菌ペプチドなどの低分子化合物または天然由来の抽出物を舌に塗布して C. albicans の口腔内定着数を検討して、定着減少がみられた低分子化合物または天然由来抽出物の濃度が分かれば口腔カンジダ症の予防に繋がるためである。
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今後の研究の推進方策 |
1)C. albicans 以外の Candida 属による口腔カンジダ症の発生に対する抗炎症性サイトカイン抗体の増悪作用 癌患者や免疫不全患者で認められる口腔カンジダ症の原因菌として C. albicans 以外の Candida 属の報告が増加している。そのため、慢性関節リウマチ患者に対する抗炎症性サイトカイン抗体の投与によって誘導される口腔カンジダ症における C. albicans 以外の Candida 属の病原性を調べる必要性がある。そこで、抗炎症性サイトカイン抗体を投与したマウスの口腔に C. parapsilosis および C. tropicalis を感染させ、口腔カンジダ症と誤嚥性肺炎の病態形成に及ぼす菌種による相違を検討する。 2)口腔カンジダ症とそれに続く誤嚥性肺炎に対する予防法の検討 (1)抗菌ペプチド(LL-37, histatin 5など)をマウスの口腔内に塗布または静脈注射で投与、あるいは溶液を飲ませるなどして、 C. albicans 菌数のリアルタイムPCRによる測定、組織観察、炎症性サイトカインの定量を行い、非投与群と比較する。すなわち、抗菌ペプチドを使用することで口腔カンジダ症および誤嚥性肺炎を軽減または予防できるのかを検討する。 (2)β1,3-グルカンを含むC. albicans 細胞壁と競合する可能性が考えられる、β1,4-グルカンのキノコ由来の免疫賦活剤(クレスチンやレンチナンなど)を静脈注射で投与、あるいは溶液を飲ませるなどして、 C. albicans 菌数のリアルタイムPCRによる測定、組織観察、ケモカインを含む炎症性サイトカインの定量を行い、非投与群と比較して、上記の免疫賦活剤が口腔カンジダ症および誤嚥性肺炎を軽減または予防できるのかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
残金は2,713円と乏しいので、次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
主にマウスを購入する。
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