超高齢社会のわが国において,高次脳機能障害の合併症等で摂食機能障害患者が増加している。「食」は生命維持だけでなく,QOLやリハビリテーションの意欲維持にも大切である。本研究課題の「風味」の中核は味覚と嗅覚であるが,その統合機構については不明な点が多い。そこで,味神経である鼓索神経と嗅覚経路である主嗅球を電気刺激したときの,大脳皮質一次感覚野および周辺皮質の応答性について調べた。単独刺激した場合には興奮が伝播する領域は,ほぼ各一次感覚野に留まったが,同時に刺激すると無顆粒島皮質(AI)で応答変化率に増加が認められたため,味覚と嗅覚の統合の一部はAIで行われていることが示唆された。
|