研究課題/領域番号 |
26463196
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
田中 聖至 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (00350166)
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研究分担者 |
関本 恒夫 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (40095170)
苅部 洋行 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (50234000)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 眼球運動 / 歯科医学教育 / 視覚素材 / 視知覚認知パターン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,効果的な歯科医学教育を実践するために眼球運動測定の手法を用いて,臨床実習開始前の共用試験や歯科医師国家試験に用いられる視覚素材に対する最適な認知パターンを明らかにすることである.平成26年度は,小児のパノラマエックス線写真における認知パターンの解析を行った.用いた視覚素材は逆性正中過剰埋伏歯を有し,下顎左側にディスタルシュー保隙装置を装着,乳臼歯部にⅡ級コンポジットレジン修復処置を施されたHellman歯齢ⅢAのパノラマエックス線写真とした.視覚素材を半透明のスクリーン後方からプロジェクターで映写して,被験者に提示する,「透過光下群」と90cm×180cmの光沢紙に印刷して提示する「反射光下群」に被験者を分類した.透過光下群にはFree View で,反射光下群にはTalk Eye Lite で視覚素材を提示した.視覚素材の提示前に,パノラマエックス線写真の読影を行うこと,観察時間は自由であること,観察後別室に移動して読影結果を自由記載することを伝えた.その結果両群ともに,大別して3種類の視知覚認知パターンを示した.読影結果が正確な学生は,右回りの視知覚認知パターンを取ることが多かった(①).また,サッケードは少ない傾向にあった.読影結果が不十分な学生は,左回りの視知覚認知パターンを取る傾向にあり,サッケードが多く観察された(②).そして,ほとんど読影できなかった学生は,停留点が殆ど現れず,少ないサッケードのみの視知覚認知パターンを示した(③).①,②は透過光下群,反射光下群ともに観察されたが,③は透過光下群で観察された.しかし例数が少ないため,今後さらに被験者を増やして検証予定である.この研究は第33回歯科医学教育学会で発表した.また結果の一部を,日本歯科麻酔学会雑誌第43巻3号および日本歯科衛生教育学会雑誌第6巻1号に投稿中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に予定した,視知覚認知パターンの解析が進み,視覚素材である小児のパノラマエックス線写真の読影結果によって,3種類の視知覚認知パターンが発見された.また,読影結果が正確な学生は,ゴールドスタンダードとして設定した臨床経験5年以上の小児歯科専門医の視知覚認知パターンに近似した情報探索を示すことを明らかにした.3種類の視知覚認知パターンのうち,読影結果が不正確な被験者に認められた,停留点が現れず,少ないサッケードで構成される視知覚認知パターンは透過光下群でのみ観察されたが,例数が少ないため,被験者を増加して検証する必要があるため,当初の計画以上に進行している,ではなく,おおむね順調に進展している とした.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度以降は,視覚素材のバリエーションを増やし,様々な視覚素材における最適な視知覚認知パターンを追究していく予定である.しかし,平成26年度のパノラマエックス線写真読影時の透過光下群に観察された,サッケード主体の視知覚認知パターンの被験者は,視覚素材観察時間も非常に短かった.この時,被験者の脳内で何が起こっているのか?いわゆるアパシーに陥っているのか?この疑問を解決するために,近赤外光脳機能イメージング装置を導入して前頭葉の脳機能を評価することも平行して行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
購入機器(視覚素材提示用媒体)の納期が遅れたため.
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次年度使用額の使用計画 |
既に,機器の納入が済んだため(平成27年4月14日,16日)使用済み.
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