研究課題/領域番号 |
26463200
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
松尾 浩一郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (90507675)
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研究分担者 |
宇山 一朗 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (60193950)
柴田 斉子 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (40319265)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 周術期口腔管理 / 口腔衛生管理 / 心臓血管外科手術 / 口腔ケア / 歯周炎 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,周術期の口腔衛生管理と口腔機能管理を組み合わせることで,術後の安全かつ早期の経口栄養摂取の獲得を目指すことを目標としている。 術後合併症の一因は,口腔内の病原菌と報告されている。しかし,周術期の短期集中的な歯周治療でどの程度口腔衛生状態が改善できるかまだ明らかになっていない。そこで,今年度は,昨年度に引き続き,周術期口腔管理における歯周治療によって口腔内の衛生状態と細菌数がどのように変化していくか,また術後合併症リスクを低減できるか心臓弁置換術(VR)の患者を対象として検討を行った。対象は,2014年8月から2015年12月までに周術期口腔管理目的で当院歯科を受診したVR患者48名(介入群,67.3±11.2歳)および2012年4月から2014年3月までに歯科受診のなかったVR患者35名(非介入群,70.0±12.1歳)とした。歯周炎の炎症の指標である歯周ポケット(PPD),プロービング時の出血(BOP)と口腔内細菌数が,術前から術後にかけてどのように変化したか統計学的に分析した。また,介入群,非介入群ともに,術後入院日数,挿管日数,手術日以降の37.5度以上の発熱日数と抗生剤使用日数に関する情報を電子カルテより抽出した。介入群では,PPD4mm以上の割合,BOP陽性の割合,PCRともに初診時から術前日にかけて有意な低下を示し,術後も低下した状態を維持していた。術後イベントは,挿管期間,発熱期間および抗生剤使用期間が,非介入群と比して介入群で有意に低下していた。結果より,VR患者への術前からの口腔管理により,口腔衛生状態が改善し,術後もその状態が維持されることが示された。また,介入群において,術後イベントの発生頻度が有意に短くなったことから,周術期口腔管理による口腔衛生状態の改善によって術後の合併症リスクを抑制させる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
周術期の口腔衛生管理のデータに関しては,今年度は,研究の対象疾患を,弁置換症例中心にしたことで,当初予定していた症例数50名近く集めることができた。また,研究解析結果も,予想していたような結果とほぼ同じ傾向を示していた。ここまで,ほぼ当初の予定からそれほど遅れることなくデータの採取が出来ていると考える。来年度は,国内外での学会発表を行い,論文として結果をまとめていく予定である。 また,周術期の口腔機能管理のデータとして,術前後の筋力と舌圧の変化についてのデータ採取も新たに開始した。データサンプル数は,300症例程度に達したため,これらのデータも順次解析を進めて行く予定である。このデータをまとめることで,周術期における口腔機能の変化と,それに対する介入意義について情報発信することが可能になると考える。
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今後の研究の推進方策 |
周術期の口腔衛生管理のデータに関しては,最終年度である次年度では,学会発表,論文作成を中心に行っていく予定である。また,周術期の口腔機能管理のデータに関しては,分析を進め,必要があれば追加のデータを採取し,報告できるようにしていく。また今後の研究につなげるために,周術期での早期からの口腔機能訓練効果についても予備データがとれるように検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は,当初予定していた国内学会への参加費と旅費を他の研究費より捻出したために,次年度使用額が生じた。データ採取に関しては,当初の予定通り進行している。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は引き続き積極的にデータ採取を行っていく予定である。また研究成果を多くの国内および国際学会で発表していく予定でもある。計画通り進めば翌年度分として請求した助成金の予算に見合った支出が予想される。
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