研究課題
本研究課題では,周術期の口腔衛生管理と口腔機能管理を組み合わせることで,術後の安全かつ早期の経口栄養摂取の獲得を目指すことを目標としている。昨年度までは,周術期口腔管理における歯周治療によって口腔内の衛生状態と細菌数がどのように変化していくか,心臓弁置換術を受けた患者を対象として検討を行ってきた。今年度は,がん周術期患者を対象に,術後の非経口摂取が口腔と全身の筋力低下にどのように影響を及ぼすか検討した。対象は,2015年10月から2016年11月までに周術期口腔管理目的で当院歯科を受診したがん患者252名とした。術前日と手術4日後に,舌圧と握力を測定した。栄養状態の情報として,術前と術4日後における経口摂取の有無,BMI,血清アルブミン値(Alb)のデータを電子カルテより抽出した。周術期における筋力および栄養の変化率が,対象臓器(上部消化管,下部消化管,婦人科・泌尿器,肺の4群),術式(開胸・開腹,鏡視下の2群),術4日後の経口摂取の有無によって相違があるか検討した。その結果,術4日後での経口摂取群よりも非経口摂取群において,舌圧は有意に低下していた。また,上部消化管,下部消化管症例の方が,他の臓器よりも舌圧が有意に低下していた。一方,握力は,対象臓器によって,術後の低下率に有意差があったが,術4日後の経口摂取の有無の影響は受けていなかった。BMIは,経口摂取群の方が,非経口摂取群よりも多く舌圧が低下していた。Albは,開胸・開腹群の方が,鏡視下群よりも有意に低下していた。本結果より,消化器がん患者の周術期では,筋力低下が認められ,かつ,術後の非経口摂取期間が延長した場合には,さらに舌圧は低下することが示唆された。これらの結果から,術後早期からの経口摂取の再開の必要性が示唆され,そのための口腔機能訓練の必要性について今後検討していく予定である。
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