研究課題/領域番号 |
26463202
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
吉川 美弘 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (70434793)
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研究分担者 |
池尾 隆 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (40159603)
岡崎 俊朗 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40233308)
吉澤 達也 熊本大学, 生命科学研究科, 准教授 (40313530)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スフィンゴミエリン合成酵素 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 糖代謝 |
研究実績の概要 |
骨組織を中心とした多臓器間ネットワークによる血糖値調節機構については骨芽細胞がオステオカルシンを分泌し、膵臓のインスリン分泌、脂肪細胞でのアディポネクチン分泌を促進することにより糖代謝を制御することがわかっている。また、我々は糖尿病の発症原因の1つとして細胞内のスフィンゴ脂質の恒常性維持に重要な役割を担っているスフィンゴミエリン合成酵素(SMS)が欠失することや酸化ストレスの上昇により、骨密度が減少することを見いだした。 そこで、これらの背景をもとに、骨芽細胞に存在するSMSが血糖値調節機構に関わっているかを検討した。実験方法として、SMSが消失した骨芽細胞を用いて、破骨細胞前駆細胞と共培養を行い、破骨細胞の分化に影響を及ぼすか確認した。その結果、骨芽細胞のSMSが破骨細胞分化に関与していることが示唆された。これは骨芽細胞のスフィンゴ脂質が破骨細胞の分化を促進することで、骨を吸収し、骨に埋め込まれているオステオカルシンの低カルボキシル化が起きることにより、血糖値調節機構に関与する可能性を示した。 さらに今後、骨芽細胞特異的にSMSをノックアウトしたマウスを用いて、骨芽細胞のオステオカルシン発現や、破骨細胞の分化、吸収の変化を解析することで、骨芽細胞におけるスフィンゴ脂質をターゲットにした血糖値調節機構を明らかにすることができ、糖尿病患者の歯周病治療応用へと展開するための研究基盤となる可能性も示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験計画ではスフィンゴミエリン合成酵素(SMS)をノックアウトしたマウスを用いて、頭蓋冠から骨芽細胞を単離し、培養した骨芽細胞を用いて、骨芽細胞の機能発現にどのように影響を及ぼすか検討する予定であった。しかし予定していた必要数のマウスが育たなかったため、すべての実験ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後はSMSs骨芽細胞特異的KOマウスにおける糖脂質代謝の影響を調べる。実験方法としてはブドウ糖負荷試験、血中オステオカルシン濃度の測定、背骨による骨形態計測、脛骨による遺伝子発現の確認、大腿骨による免疫組織学的解析をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたマウスが想定以上に育たなく、必要数が得られなかったため、できない実験が生じた。さらに、その結果、予定していた学会で発表することができなかったため、旅費が発生しなかったことがあげられる。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は平成26年度以上のマウスを用意し、交配することにより、必要数のマウスを得られるようにする。また、平成26年度に引き続きマウスが育たなかった場合も想定して、in vitro実験で骨芽細胞にsiRNAを導入することによりSMSがなくなった場合における骨芽細胞機能を調べる実験も行う。
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