研究課題/領域番号 |
26463203
|
研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
廣藤 卓雄 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (10189897)
|
研究分担者 |
内藤 徹 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (10244782)
米田 雅裕 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (10253460)
谷口 奈央 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (60372885)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 高齢者 / 出前講座 / 口臭 / 口腔管理 / プロバイオティクス / 乳酸菌 / う蝕リスク |
研究実績の概要 |
口腔内の歯牙や歯周組織の病的悪化が、口臭、味覚障害、口腔機能や嚥下機能の低下を招き、誤嚥性肺炎や低栄養、認知症の進行につながるとされ口腔ケアを含めた歯科治療の重要性が強く示唆されている。特に、口臭は高齢者の方の口腔内環境の状態を示す指標として着目されている。また、歯周病は、その原因となる口腔内細菌が形成する歯垢(バイオフィルム)が、誤嚥性肺炎などの呼吸器疾患、糖尿病、心血管系疾患といった全身疾患の発症や進行に関連するとされ注目され、高齢者における口腔管理が、元気な高齢者の育成と介護予防の重要な要素となっている。 このことを実証するために、地域の元気な高齢者の全身健康状態と口腔内環境の管理を目的に、まず、出前講座「心と体・口・歯の健康の話」を元気な高齢者を対象に、福岡市内4か所で各2時間ほど精力的に行った。今年度も3件予約が入っており、これらの講演の参加者で、臨床研究に参加することに関して充分に理解されインフォームドコンセントが得られている方から希望を募り、対象グループを選択準備中である。またプロバイオティクスの概念についても十分に講演説明して理解していただくようにした、なお、口腔管理に利用する乳酸菌配合錠果およびそのプラセボは準備済みである。この乳酸菌は、口臭患者に対しプラセボを対照とした二重盲検クロスオーバー比較試験を実施し、口臭や歯周炎への有効性を確認した。また、乳酸菌は酸を産生することから利用する乳酸菌がう蝕に与える影響を確認しておく必要があるため、乳酸菌配合錠果の摂取前後でのう蝕リスク因子の変化を調べた。その結果、摂取後にミュータンス菌レベルの減少が認められ、刺激唾液量と唾液緩衝能には影響がなかった。これらのタブレット摂取はう蝕リスクに対して抵抗性を示すことが示され、高齢者への歯牙に対するリスクは低いものと考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
出前講座「心と体・口・歯の健康の話」を既に福岡市内で4回、高齢者を対象に実施した。今年度も既に3件の予定が現在までに入っている。本人から臨床研究に参加することに関して充分に理解されインフォームドコンセントが得られる実施対象グループを、現在、選択予定準備中である。乳酸菌配合錠果およびそのプラセボや口腔内への影響、その他の機器・器具に関してはほぼ準備済みである。
|
今後の研究の推進方策 |
実施対象高齢者グループにおいて、参加高齢者の全身健康状態、口臭、口腔内の齲蝕や歯周病および口腔内バイオフィルム状況、歯科的治療状況について精査する。口腔内細菌に関しては、歯肉縁下歯垢、唾液、義歯歯垢付着、舌苔歯周病原性細菌との関連性を中心に検討する。高齢者の全身健康状態の診査と歯周病罹患状況を含めた口腔内検査、細菌検査を行う。その後、乳酸菌L. salivarius WB21株を毎食後経時的に摂取して頂き、口腔内環境、口腔内疾患、口腔内細菌の変化と全身健康状態変化についての総合的検討を行う。また、地域の高齢者の口腔健診を行い地域との連携にもつなげる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
学会発表を精力的に行ったが、予定していた旅費を使用しなかった。検診業務が間に合わなかった。以上より次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
検診業務を含めた臨床実験の開始と科研費からの旅費運用を行う。
|