研究課題/領域番号 |
26463221
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研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
水澤 久恵 新潟薬科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (20433196)
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研究分担者 |
深堀 浩樹 東京医科歯科大学, 保健衛生学研究科, 准教授 (30381916)
中村 裕美 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 准教授 (60381464)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | DNAR / DNR / 蘇生不要指示 / 倫理的課題 / 質的研究 |
研究実績の概要 |
前年度に度実施できなかったDNAR(蘇生不要)指示の歴史的経緯、定義、DNAR指示の適切使用のためのガイドライン、院内医療者に対する教育の実態把握のための米国施設への視察、資料収集を行った。テンプル大学、テンプル大学病院の視察ならびにアメリカ在住2名の医療関係者(テンプル大学RN, Nurse Staff、テンプル大学Postdoctoral Fellow)に聞き取り調査を実施した。その結果、蘇生に関わる法的問題事案を通して蘇生を断る患者の権利についての議論が重ねられた経緯や社会的理由、DNR (do not resuscitate)あるいはDNAR(do not attempt resuscitation)の一般的な意味についての確認をした。またテンプル大学病院におけるDNRガイドラインの内容とその実践についても情報を得た。これらは本邦におけるDNAR指示に関わる倫理的課題を明確にする上で参考にしていく。 H26年度に引き続き、本邦におけるDNAR指示の一般的解釈の現状把握と現場に生じるDNAR指示に関わる倫理的課題の明確化を図るため、医師、看護師へのインタビュー調査を実施した。100~400床規模の複数の診療科をもつ一般病院5施設の看護師10名、医師4名からインタビューデータを聴取した。対象者の特性としては、新人からベテランの終末期の患者の治療や看護に携わる看護師、医師である。内容を質的分析手法を用いて分析し、複数の研究者が検討を重ねることで分析内容の信頼性と妥当性を確保しながら、臨床現場に生じるDNAR指示に関わる倫理的課題の明確化を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
複数施設へのインタビュー調査の依頼と調査の承諾を得ることに時間がかかった。昨年度におけるデータ数が少なかったため、本年度も継続してインタビュー調査を実施し分析を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
質的研究結果を踏まえて、回復困難な状況の判断者、DNAR指示の解釈、医師と看護師間並びに同職種間での解釈のずれ、DNAR決定後の治療・看護を含む具体的患者管理やケアに与える影響等の倫理的課題の内容を含む質問紙を作成し調査を実施する。 質的・量的調査の結果を活用し、DNAR指示の混乱回避に向けた倫理教育のあり方を検討し倫理教育内容の確定と暫定プログラム実用化に向けた準備を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
H27年度に実施の予定であった質問紙調査が次年度へと遅れたため、それに関わる未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
質的研究調査の継続に必要な研究補助、消耗品の購入費用、研究を深めるための書籍の購入、文献複写依頼費用を見込んでいる。 また、質問紙調査実施のための、印刷代、通信費、郵送代金、データ入力や整理のための研究補助、専門的助言提供者への謝礼を必要とする。研究に関わる検討会を実施するための会議費、旅費、研究成果を発表するための旅費、学会投稿料を計上している。
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