研究課題/領域番号 |
26463223
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
紺家 千津子 金沢医科大学, 看護学部, 教授 (20303282)
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研究分担者 |
真田 弘美 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50143920)
須釜 淳子 金沢大学, 保健学系, 教授 (00203307)
松井 優子 金沢医科大学, 看護学部, 准教授 (00613712)
木下 幸子 金沢医科大学, 看護学部, 講師 (50709368)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スキンケア / 高齢者 / スキンテア |
研究実績の概要 |
スキンテア(皮膚裂傷)は、せん断力、摩擦力または鈍的な力により皮膚層が分断する外傷で、通常の医療・療養環境の中で生じる。スキンテアが発生すると強い疼痛をもたらすだけでなく、上皮化の遅延や再発が続くと慢性創傷に移行するリスクが高い。さらに、スキンテアは、主に脆弱な皮膚を有する高齢者に多いと海外では報告されており、超高齢社会の本邦が注目すべき創傷である。しかし、未だ本邦における有病率並びに発生率は十分に解明されていないだけではなく、スキンテアという状態も周知されていない。そこで、スキンテア判定教育ツール、発生予測スケール、予防ケアツールの3つで構成するスキンテア予防システムを構築することは意義がある。 初年度はスキンテア判定教育ツールの作成に着手した。まず、スキンテアと他の創傷とを混同するケースについて創傷ケアに精通している10名の看護師を対象にフォーカスグループインタビューを行った。その結果、持続する圧迫やずれで生じた創傷である褥瘡と医療関連機器圧迫創傷、失禁によって起こる失禁関連皮膚障害があがった。さらに、下肢の血管障害によって起こりうる静脈性・動脈性潰瘍と、糖尿病性潰瘍があがった。そのため、画像を用いてスキンテアの判定を行う資料を作成した。なお、創傷の特徴として真皮までの損傷であることが抽出された。また、スキンテアは、国際的にSTAR 分類システムによって5つのカテゴリーに分けられるため、スキンテアの画像からカテゴリーを判定できる練習システムを構築した。なお、作成した資料は、創傷を専門としない看護師に確認を依頼し、利用可能かを検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は、スキンテア判定教育ツールの開発後に臨床で実態調査の実施の開始を予定していたが、研究計画作成後に公表された国外の論文は研究者が異なるとスキンテアの危険因子が異なっていた。また、人種によって皮膚の耐久性、さらには日光暴露に関連する生活習慣にも差があるため、その点を考慮した調査項目ではないと必要な結果を得ることができない。そのため、世界のスキンテア研究を牽引しているDr. Carville K.(Curtin Univ. of Technology) にアドバイスを受ける機会を設け、その間に創傷関連の学会にてスキンテアに関する情報を収集して調査項目の確定を行ったため、調査開始が次年度となった。
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今後の研究の推進方策 |
早急に、医療施設におけるスキンテアの有病率並びに発生率の推定と発生・治癒状況の実態調査を開始する。さらに、予防ケアツールの開発までの時間を当初通りとするために、発生者個々の事例から発生要因を導き出す際には、可能な予防ケアも同時に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査開始にあたり、調査項目を再検討すると、当初の計画時までに公表された国外の論文間でスキンテアの危険因子が異なっていた。また、人種によって皮膚の耐久性、さらには日光暴露に関連する生活習慣にも差があるため、その点を考慮した調査項目ではないと必要な結果を得ることができないと判断した。そこで、世界のスキンテア研究を牽引しているDr. Carville K.(Curtin Univ. of Technology) にアドバイスを受ける機会を設け、その間に創傷関連の学会で報告されたスキンテアに関する研究発表から情報収集を行った。そのため、調査開始時期が遅れ、その分の研究費が次年度使用額となった。
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次年度使用額の使用計画 |
医療施設におけるスキンテアの有病率並びに発生率の推定と発生・治癒状況の実態調査を開始する。さらに、予防ケアツールの開発までの時間を早めるために、発生者個々の事例から発生要因を導き出す際に可能な予防ケアも同時に検討していくため、平成27年度は予定通りの使用となる。
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