今年度は、青年期女性14名(年齢21.2±0.4歳)・壮年期女性15名(年齢46.2±5.6歳)・高齢期女性12名(年齢75.0±5.9歳)の手背・前腕・下肢における皮膚温・角層水分量・経表皮水分蒸散量(以下、TEWLとする)の測定値を比較して皮膚生理機能の特徴を明らかにすることを目的とした。 その結果、手背については3群でのTEWLの有意差はなかったが、角層水分量において高齢期群は青年期群よりも有意に水分量が多く(P<0.05)、皮膚温においても高齢期群は青年期群・壮年期群よりも有意に温度が高かった(P<0.05)。前腕においては、高齢期群のTEWLは、青年期・壮年期群よりも有意に高かった(P<0.05)。青年期群の角層水分量は高齢者群の角層水分量よりも有意に少なかった(P<0.05)。下腿においては、TEWL・角層水分量での3群における有意差はなかったが、皮膚温において高齢期群は他の2群よりも有意に温度が高かった(P<0.05)。青年期群・壮年期群・高齢期群の皮膚生理機能の特徴として、青年期群の手背と足背の皮膚温は、他の2群よりも有意に温度が低いが、TEWLは他の2群よりも低いという結果から、皮膚からの水分蒸散が少ないことにより皮膚バリア機能が保たれていることが明らかになった。壮年期群は、スキンケアを含む生活習慣により皮膚バリア機能が保たれていることが示された。高齢期群では、TEWLと皮膚温が高いため皮膚からの水分蒸散が多く、上肢よりも下肢の乾燥をきたしやすいことが示された。本研究の結果から年齢層による皮膚生理機能の特徴が異なるため、年齢層による特徴を考慮した皮膚洗浄法を含む日常のスキンケアの必要性が示唆された。
|