研究課題/領域番号 |
26463226
|
研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
伊東 美佐江 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (00335754)
|
研究分担者 |
服鳥 景子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 講師 (10335755)
松本 啓子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (70249556)
村上 京子 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10294662)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 看護倫理 / 自己決定 / 家族 / 意思決定 / 国際研究者交流 / アメリカ合衆国 / 大韓民国 |
研究実績の概要 |
がんに罹患した患者の終末期医療における意思決定に関する文献から、病名の未告知と告知の状況では意思決定に影響を及ぼす要因は異なっていた。未告知では、「医療者との関係」、「医療への期待」、「患者の死期」、「介護への希望」、「介護を行う上での不安」、「病院への思い入れ」があった。一方、病名の告知では、「身体的・精神的苦痛」、「家族への気遣い」、「意思決定のための情報収集」、「穏やかな死への期待」、「治療環境へのストレス」、「面会・通院の利便性」、「療養の場への経済性」、「医療者との関係」が明らかとなった。家族が患者のために意思決定をする際の自信は、病名の未告知症例では、「未告知による揺らぎ」、「未告知による後悔」、「未告知の選択でよかった」ことが明らかとなった。病名の告知では、「患者の意思が分からないことによる困難感」、「患者の思いを知ったことによる困惑」、「患者本人の意思とは異なる決断」、「死別後の後悔」、「死別後の葛藤」、「精いっぱいのことをしたことによる満足感」が明らかとなり、病名の告知の有無に拘らず家族は揺らいでいた。 また、高齢者本人の意思決定に問題が生じる状況には、<認知症によるコミュニケーション障害>、<加齢に伴う身体機能低下>、<高齢者のもつ高いコンプライアンス意識>、<高齢者自身の自律性の過小評価>が明らかとなった。高齢者家族の意思決定時に問題が生じる状況には、<代理決定に伴う問題>、<高齢者と家族の意向の相違>であった。 判断能力のある患者の家族の効力感に関して研究は多く行われていなかったが、患者の家族の意思決定に影響を及ぼす要因は多様であることが推測された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
判断能力のある患者の自己決定と家族の意思決定の効力感に関する文献は疾患も多様であり、状況もさまざまであったが、家族が医療に関する意思決定に関与していることは否めず、家族の意思決定における後悔ができる限り少なくするための方策を考慮していくことが求められる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、医療の意思決定プロセスにおいて、判断能力のある患者は家族とどのように意思決定を行っているのか、家族が意思決定する効力感と家族の調和の維持に関する家族のなかの現象を明らかにすることを目的として、入院経験のある患者とその家族を対象とし、構造的質問項目と非構造的質問項目を用いた面接調査を実施する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者であるDr. Marie Nolan教授をが来学される機会があり、その際に研究に関する打ち合わせができ、海外への渡航費が不要となったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究組織の変更があり、パーソナルコンピュータを購入し、円滑な研究の運営を図る予定である。
|