研究課題/領域番号 |
26463228
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研究機関 | 熊本保健科学大学 |
研究代表者 |
恒松 佳代子 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (20300486)
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研究分担者 |
柳井 圭子 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (60412764)
福本 優子 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 助手 (90728396)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 司法精神看護 / 法看護 / 医療観察法 / 倫理的問題 / 看護師 |
研究実績の概要 |
最終年度は、これまでの研究成果を基に考察を深め、論文として発表することをを目標に研究を進めた。本研究の目的は、日本で法看護を実践している看護師が直面する倫理的課題を明らかにすることである。 日本で実践されている法看護領域は、司法精神看護と矯正看護の領域であるため、これら2領域における看護実践状況や倫理的問題の把握に取り組んだ。 司法精神看護を実践している医療観察病棟や矯正看護を実践している医療刑務所などの視察を行い、看護実践状況の把握に努めた。また、日本の法看護に関する研究は、数少なく、特に矯正看護については皆無であった。日本では、司法精神看護や矯正看護が法看護としての認知も低く、法看護としての倫理的問題も明らかになっていない状況が分かった。 そこで、日本で法看護を実践する看護師が遭遇している倫理的問題を明らかにするために、矯正施設と指定入院医療機関における医療観察病棟で勤務する看護師を対象にした調査を計画した。しかし、矯正施設は調査協力が得られなかったため、医療観察病棟の看護師を対象として調査を行った。 その結果、医療観察病棟に勤務する看護師は、患者の人権問題に最も多く遭遇していた。看護師は人権問題に苦悩が大きく解決が難しい事態に直面していることが明らかになった。具体的には、本人の意に反した隔離・拘束や薬物治療などの強制的な治療実施、退院困難な状況であった。また、患者が退院困難な状況は、その理由として入所施設の受け入れが困難な場合と治療拒否によって病状が改善しない場合に分けられた。前者については、患者の社会復帰に向けた地域の受け入れ体制の整備が望まれる。後者については、患者への強制的な治療実施について看護師にジレンマがあると考えられる。このジレンマは、看護専門職としての責務と医療観察法に基づいた任務の対立が根底にあり、これらの問題をどのように解決していくが倫理的課題である。
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