研究課題/領域番号 |
26463231
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
今村 恵美子 千葉大学, 看護学研究科, 講師 (50571337)
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研究分担者 |
山内 豊明 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20301830)
吉田 文子 佐久大学, 看護学部, 准教授 (80509430)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 看護教育学 / 公衆衛生看護学 / 国際保健 / 看護技術 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、①国内の看護系大学の教員に対し、看護学部学生への国際保健・国際看護の能力(グローバルヘルス・コンピテンシー)教育に関する意識や展望、教育の実際等について調査し我が国の国際保健・看護教育の現状と課題を明らかにすること、そして②この研究の結果を北米・中南米16か国で行われた先行研究の結果と社会・文化的側面から比較検討することにより、各国との類似性や日本の特殊性を浮き彫りにし、我が国の看護基礎教育におけるグローバルヘルス能力開発教育のあり方について探求しその発展に寄与することである。 我が国で、様々な文化背景と複雑な健康問題をもつ人々が国境を越え日常的に移住・往来する昨今、人々のケアにあたる看護師は、自身の文化に留まらず、異文化に対する幅広い知識と深い理解を養い、文化特性に根差したケアを提供出来なければならない。そしてそのような能力を養う為にも、看護基礎教育の段階から国際保健・看護の能力を育成することを国内看護系大学に啓発していく必要がある。 それには先ず、現在の教育の実態を把握することが必須となるが、日本ではこれまで国際保健・看護の能力開発教育に関する広範囲な実態調査研究は実施されていない。看護の国際化を推進する我が国で本研究を行うことは、我が国の国際保健・看護教育における諸問題を分析し、文化に即した実施可能な教育法を開発・普及するために重要である。 さらに、本研究を通して教員に「看護国際教育の要素」を周知することは、授業内容の改善・充実の一助(FD)となり、現行の「学士課程においてコアとなる看護実践能力」項目18「社会の動向を踏まえて看護を創造するための基礎となる力」の強化に直接貢献できる意義がある。また本研究をアジア圏で初めて日本で実施することは、近隣諸国をも啓発し、アジア諸国全体の看護教育の国際化の発展を日本が促進・牽引することに繋がる点で意義深いと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の計画当初(平成25年度)、26・27年度の2年間で英語の調査票を日本語に訳し(翻訳)更に英語に訳して(逆翻訳)信頼性と妥当性を確認し「日本版調査票」を完成、28年度に調査と結果分析、29年度に国内・国外での研究結果周知活動を実施する計画を立てた。しかし研究開始直後、より確実に期間内に目標達成するために計画を再検討し、27年度予算を26年度へ前倒しし26年度中に日本語版調査票の完成、27年度に調査と結果分析、28・29年度にそれぞれ国内・国外での周知活動を実施することとした。 26年度は、先ず本研究で英語版(原本)調査票を翻訳・使用するため、北米における先行研究の代表者Wilson博士らから公式に許可を得た。その後プロの翻訳者とともに調査票を日本語に翻訳し、設問項目・内容を精査、さらに逆翻訳を行い、日本語調査票の表面的妥当性と7人の看護教員により試験・再試験信頼性を確認し、計画通り調査票を完成することが出来た。また、Web会社責任者と調査システムのデザインを構築し、現在使用に向けて試験・修正中である。
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今後の研究の推進方策 |
27年度は、Web調査システムを完成し全国調査を実施する。看護系大学の情報をアップデイトし、看護学部長・学科長に対して調査の説明・協力依頼書を郵送する。同時に学会等で広く看護教員をリクルートする。対象者全員へメールで調査票を配信し、インフォームドコンセントと調査票に記入の上返信して頂く。調査票配信2か月後のリマインドはがきを送付してより多くのデータを収集し、データを研究者間で順次分析する。 上記研究を遂行する上での課題であるが、調査期間が7~8月と看護教員にとって多忙な時期と重なるため、データ収集のために計画した以上の時間がかかることが予想される。その場合はデータ収集期間を延長するなどして対応する。
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次年度使用額が生じた理由 |
27年度(次年度)、Web調査システムを完成し全国調査を実施するにあたり、調査票管理および事務補助の補佐員1名(または2名)を雇用する。事務用の備品・消耗品費、研究者間の打ち合わせ(旅費)、その他(書籍代等)のため使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
調査補佐員の雇用:1人x4時間x60日間x950円=228,000円、備品・消耗品費:160,000円、研究者間の打ち合わせ(旅費):78,000円、その他:234,000円、合計:700,000円
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