研究実績の概要 |
本研究の最終年度である29年度は、データ分析及び国内・米国の学会にて研究成果を公表した。データ回収数448で有効回答数は331(73.9%)、役職は看護系大学の学部長66名・教員64名及び看護専門学校の校長135名・教員66名で、年齢は50代183名(55.3%)・60代95名(28.7%)、女性が317名(95.8%)であった。 役職と調査票グローバルヘルス・コンピテンシー(以下GHC)30項目について多重比較(有意水準p < 0.05、両側)した結果、「II e. 通訳者を介して患者・家族と効果的に意思疎通を行うことができる」(F [5,333]= 3.340, p < 0.01)や「VI a. 健康と人権の関係について基本的な理解を示すことができる」(F [5, 333] = 4.124, p < 0.001)等15項目において有意差が認められ、大学の学部長や教員が専門学校の校長や教員に比して強く賛成を示すことが確認された。 また回答者の意見より、GHC教育は「今後益々求められる」「学士課程において重要」「カリキュラムにきちんと位置づけたい」等重視される一方「現行のカリキュラムでは時間的に困難」「教授できる教員が不足」「海外の大学とは異なり日本では身につけるのが難しいGHC項目が多い」「必須項目を精選していく必要がある」等今後我が国でGHC教育を推進してくための様々な課題が浮き彫りにされた。 本調査研究の結果、これまで未知であった我が国の看護教員が持つGHC教育への意識や展望、自施設での教育の現状と課題を明らかに出来研究目的を達成した。また本調査を通じて我が国の看護教員が国際的GHC教育の要素を知り、授業の再認識の機会(FD)になったことも意義深いと考える。今後米国等の看護教員との国際共同研究にて、我が国と各国の文化特性を踏まえたGHC教育指針を開発する計画である。
|