研究課題
発達障害が疑われる学生を早期に把握し、個別指導による看護実践への適応を支援するために、発達障害のスクリ-ニングツ-ルとして、先行研究結果と専門家の指導助言をもとに25項目の特性を抽出した。また、先行研究において、発達障害が疑われる学生の学習困難な状況は、看護学実習の場面が多かったことから、抽出した25項目の行動特性を「看護学実習における行動特性チェックリスト」として作成し、信頼性・妥当性を検討するために看護系大学教員を対象に調査を実施した。看護系教員に実習指導経験の中から学生の行動特性として「気になる学生」行動の一致率70%以上は6項目、50%以上は9項目が該当し、「気にならない学生」の行動特性と弁別が可能であることが明らかになった。気になる学生に共通した行動特性は、「物事の優先度を考え、計画的に課題に取り組める」「物事の見通しを立てて、段取りをイメ-ジできる」「失敗してもパニックにならず対処できる」など、計画実行能力や選択・課題解決能力などの課題対応能力に関すること、「他者の思いや考えを受け入れ、尊重することができる」「人の気持ちを想像し、寄り添うことができる」「集団の中で協力し、協調性がある」など他者理解・コミュニケ-ション能力や「必要な時に人に連絡したり、報告したり、相談できる」などの職業的役割認識・社会形成能力に関連するものであった。従って、看護実践に適用できるために、看護基礎教育課程の中で看護学実習前から実習内容やル-ルの視覚的提示・行動のイメ-ジ化を図る指導や、困難状況を回避するためのサポ-ト方略の明確化、自己管理や社会的スキルについての個別指導などの教育を行う必要性が示唆された。