研究課題/領域番号 |
26463260
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
金子 多喜子 杏林大学, 保健学部, 講師 (60583911)
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研究分担者 |
関谷 大輝 東京成徳大学, その他部局等, 准教授 (80619213)
伊藤 まゆみ 共立女子大学, 看護学部, 教授 (70316636)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 感情労働 / 感情不協和 / 感情規則 / 感情調整 |
研究実績の概要 |
本研究は,看護師のメンタルヘルス悪化の主要な要因と考えられながらも,いまだに実態が十分に解明されていない感情労働に伴う感情的不協和の構造を明らかにし,看護師の感情マネージメントを高める認知的再解釈アプローチを用いた教育・介入プログラムを構築することである。平成26年度は以下のとおり実施した。 感情的不協和を含む感情労働の生起プロセスと内容に関する定性的検討するために,看護師業務の中で生起している感情労働の実態を,看護師へのインタビュー調査によって確認した。具体的には,個々の感情的不協和経験の詳細や対処法を定性的に聴取したうえで認知的再解釈に該当する対処方略がその後の職務遂行や心身にどのような影響を及ぼしているかを検討した。 調査対象者は,感情労働の中でも最もストレスが高いとされる表出抑制を多く実施しているのが若い看護師であることから,総合病院に勤務している看護経験10年以下の看護師20名とした。調査方法は,半構造化面接調査で所要時間は平均45分程度であった。 結果,感情労働プロセスにおいて意識・無意識を問わず感情的不協和が生起している状況が認められた。感情不協和の生起対象としては,患者・家族のみならず同僚や上司を含む医療スタッフとの関係においても生じていた。また,職場内・職場外を問わず感情的不協和の発生後は,その感情を反すうする傾向がみられたが,多くの場合信頼する同僚への感情表出により感情不協和に伴うネガティブな感情を処理していた。しかし,中にはその場面のやり取りに意味づけをするなど認知的再解釈アプローチにより対処することを確認した。 上記,結果に基づいてテキストマイニングによる分析を含め,定量的検討に重要となる心理社会的構成要素を抽出し,尺度項目プールを作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
感情的不協和を含む感情労働の生起プロセスと内容に関する定性的検討するために,看護師業務の中で生起している感情労働の実態を,看護師へのインタビュー調査によって確認した。結果に基づいて定量的検討に重要となる心理社会的構成要素を抽出し,項目プールを作成中である。よって,おおむね計画に沿って実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の計画は以下の通りである。 1.平成26年度,定性的調査によって得られたデータより,感情的不協和をより詳細に測定可能な感情労働尺度を作成する。 2.作成した尺度を用いて,大規模な定量的調査を実施する。 3.2の結果から,認知的再解釈方略と感情労働の関係や,介入による変容可能性を検討する。 4.介入実験に使用する予定のマンガ教材のストーリーを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度インタビュー調査に時間を要し,Web調査に至らなかった。そのため,26年度計上していたWeb調査費用額が残金となった。Web調査は,平成27年度実施する。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の主な使用計画は以下の通りである。 1.Web調査費用と個別郵送費用,2.質問紙調査作成のためのプレテスト協力謝礼,3.調査結果の分析補助者への謝金,4.研究学会発表のための交通費および参加費,5.研究成果報告のための報告書作成費用,6.事務用品等で使用することを予定している。
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