研究課題/領域番号 |
26463261
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
佐々木 幾美 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (90257270)
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研究分担者 |
西田 朋子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 講師 (20386791)
藤尾 麻衣子 武蔵野大学, 看護学部, 助教 (10352692)
高橋 道明 亀田医療大学, 看護学部, 助教 (90710814)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 多様な背景 / 看護職員 / 教育支援体制 / 看護実践能力 / 職場適応 / キャリア構築 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、学習経験や就業経験など多様な背景を持つ看護職員の実態について、看護実践能力、職場適応およびキャリア構築の点から明らかにし、医療現場で運用可能かつ有用性の高い教育支援体制のモデルを作成することである。 平成26年度は、多様な背景をもつ看護学生・看護職員に関する研究について文献レビューを行った。日本やアメリカにおける多様性の捉え方の違いや、多様な背景をもつ看護学生・看護職員の特徴や課題、指導者の関わりを明らかにした。 また、多様な背景をもつ看護職員に関わった経験がある看護師長へのヒアリング調査を実施し、多様な背景をもつ看護職員の特徴と教育支援の実態を明らかにした。研究参加者は同意が得られた関東圏内の約400~900床の3施設に勤務する看護師長15名であり、グループインタビューを用いた半構成的面接法でデータ収集を行った。逐語録からカテゴリーを抽出した。研究者の所属機関の研究倫理審査委員会の承認を得て実施し、個人情報の保護等を厳守した。 インタビューの結果、多様な看護職員の特徴として、【価値観が固まっているなど融通が利かない】【新しいシステム等を覚えることが難しい】【看護実践におけるキャパシティがせまい】【技術が身に付かない】【プライドが高く弱さを出せない】【仕事と家庭の両立は難しい】【前職が活かされている】【根性や頑張る姿勢や打たれ強さがある】が明らかになった。また、教育支援の実態として、【新人の背景や経験を指導者に伝える】【指導者と新人の年齢差への配慮や指導者に対して管理者から関わる】【新人の背景を考慮し指導者とのペアリングを考慮する】【必要に応じた指導者とのペアリングを解消する】【適材適所へ配置するため新人の配置転換を行う】【新人に対して”新人である”という意識を育てるよう関わる】【管理者自らが社会人経験者に対する見方を変化させる】【配属先の工夫をする】が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は国内外の文献レビューと情報収集から、多様な背景をもつ看護職員に対する教育支援の課題および効果的な教育支援体制について明らかにすることを計画していたが、国内の文献についてはほぼレビューできた。海外の文献については、多様性であることが一般的である社会背景もあり、特徴というよりは支援という観点からのレビューが必要であることが明らかになった。来年度も継続して実施する。 また、学習経験や就業経験など多様な背景をもつ看護職員に関わった経験がある看護師長へのヒアリング調査を実施し、多様な背景をもつ看護職員の特徴と教育支援の実態を明らかにした。ヒアリング調査は次年度に行う計画だったので、この点は順調に進展している。次年度は、学習経験や就業経験など多様な背景をもつ看護職員自身や彼らを指導した経験がある看護師へのヒアリング調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、学習経験や就業経験など多様な背景をもつ看護職員自身や彼らを指導した経験がある看護師へのヒアリング調査を実施する予定である。研究対象者については、看護基礎教育の要因が入ることで分析が複雑になることや、看護継続教育での支援に焦点を当てる方が課題が明確になること、アメリカの文献では多様な背景をもつ看護学生の支援がすでに明らかにされていることなどから、看護基礎教育で学ぶ他領域での学習経験や社会人経験のある看護学生、多領域での学習経験や社会人経験のある看護学生を教える看護教員を除外することにした。したがって、本研究では学習経験や就業経験などや多様な背景をもつ看護職員自身、および彼らに関わったことのある医療現場の指導者・管理者のみを対象にヒアリング調査および質問紙調査を行う計画に修正する。また、今年度は質問紙調査の実施までを計画に入れていたが、調査の枠組みを十分に検討する必要が出てきたため、質問紙の完成までとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
多様な背景をもつ看護職員を指導した経験のある看護師に対するヒアリング調査を平成27年2月に実施する予定で進めていたが、研究協力施設の状況から平成27年5月になったため、研究分担者がデータ収集のために使用する交通費や逐語録作成に作成する謝金が残った。
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次年度使用額の使用計画 |
ヒアリング調査は平成27年5月に実施する予定であり、残額はそこで使用する。今年度の使用については大きく変更はない。
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